東京スカイツリーは、日本を代表するランドマークとして、いつまでも変わらぬ姿でいることが望まれています。
今回は、東京スカイツリーの構造体である鉄骨をさびから守り、より長く、より美しく保つための塗装技術についてご紹介します。
鉄骨を100年間守る
東京スカイツリーの主な構造部分となる外部鉄骨は「耐久性」とともに見た目の「美しさ」も求められています。
「高い防食性」と「美観」を維持するために、さまざまな防食方法が検討され、明石海峡大橋などに代表される本州四国連絡橋の鉄骨の塗装で使われている「重防食塗装」が、東京スカイツリーの塗装に採用されることになりました。
耐久性と環境性能の強化
東京スカイツリーの鉄骨の塗装に用いられた重防食塗装は、本州四国連絡橋でも実績がある最高グレード(※1)の「重防食塗装 C-5塗装系」をベースにしています。今回、東京スカイツリーへの適用に当たり、重防食塗装の耐久性と環境性能をさらに向上させた「重防食厚膜形ふっ素樹脂塗装」を開発し、採用されました。
東京スカイツリーで採用された「重防食厚膜形ふっ素樹脂塗装」の各層の役割をご紹介します。
では、本州四国連絡橋と東京スカイツリーの重防食塗装の仕様を比較してみましょう。
塗装工事中に排出される揮発性有機化合物(VOC)は、紫外線の照射により光化学スモッグを引き起こす原因となります。そのため、VOCの排出量の削減が求められています。
東京スカイツリーの塗装仕様では、以下のように行うことで重防食塗装C-5塗装系と比較して、VOC排出量を31%削減しました。
有機ジンクリッチペイントの採用によるミストコート工程の削減
無機ジンクリッチペイント塗膜には空隙(くうげき)ができるため、これを充填(じゅうてん)するためにミストコートが必要になりますが、有機ジンクリッチペイントの採用によって、ミストコート工程が不要になります成分調整による含有溶剤量の削減
厚膜形ふっ素樹脂塗料の採用による中塗工程の削減
東京スカイツリーの塗装は高い耐久性と美観の維持のみならず、地球環境への影響も配慮した仕様になっています。
東京スカイツリーのつくり方大公開(上級編)
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