すり鉢型の展望台の外装工事では、安全を第一に考えて、人や物を「絶対に落とさない」ための特別な工夫をしています。
東京スカイツリーの展望台は、安全ネットの内側ですべて作業します
地上350mという未知の高さで、かつ上にいくほどせり出す場所での取り付け作業なので、より安全に、絶対に物を落とさないための対策が必要になります。
そこで、展望台の外装工事では、安全ネットの内側ですべての取り付け作業ができるようにしました。
安全ネットは外装ユニットを取り付けたところから外していきます
ちなみに、一般的な建物では安全ネットの外側で作業します
外装材は建物の一番外側に設置するため、作業員は命綱(安全帯)をつけるなど、万全の安全対策をとったうえで、安全ネットの外側で作業するのが一般的です。
地上ヤードで鉄骨と方立を地組みするときに、安全ネットもあらかじめ取り付けておきます。そうすることで、高所で鉄骨建て方が完了した場所は、ネットで覆われた安全な作業空間となります。
外装ユニットを安全ネットの内側で取り付けるために、その手順も工夫しています。
搬入用の床開口からタワークレーンで吊り下ろします。
取り付け位置の前に平置きします。
上部に設置した走行式の巻き上げ装置で吊り込みます。
取り付け位置の上から差し込み、取り付け高さまでスライドさせます。
外装ユニットを全面に取り付けるまで安全ネットを残しておくと、後で内側から外せなくなるので、一層ごとに外装ユニットと置き換えながら外していきます。
ただ、外装ユニットの上側からネットを外そうとする際に、ネットの下側までは手が届かないため、遠隔操作で外せるように工夫しています。
ネットワイヤーの下端が外装ユニットから外れた後、上段のネットと下段の外装ユニットの間から安全ネットを取り込みます。そのとき、安全ネットと外装ユニットとのわずかなすき間から物が落ちないよう、上段のネットを二重にする工夫をしています。
人や物を絶対に落とさないために、外装ユニットの取り付け手順、ネットの仕様や設置・撤去の方法などを工夫し、地上350mや450mの高所かつ外部にせり出した場所を安全な作業空間に変えながら、施工を進めています。
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