人を大切にする企業の実現(人材)
企業活動を支えるのは、社員一人ひとりの力です。
多様な人材がそれぞれの個性と能力を最大限に活かし活躍できる職場づくりを推進しています。
人権の尊重
大林組基本理念のもと、人権の尊重を企業の社会的責任における重要な課題の一つとして捉え、その方針を明文化しています。
大林組人権方針
大林組は、世界人権宣言の精神をふまえ、基本的人権を尊重し、すべての人々が人種、性別、年齢、国籍、宗教、社会的出身、心身障がいその他により差別を受けることのないよう配慮していきます。
そのため、社員および事業に関わるすべての人々がいかなる差別も行わず、正しい人権感覚、人権意識をもつことの重要性を認識できるよう、教育・啓発に取り組みます。また、海外事業においても、ILO条約などの国際ルールを尊重し、強制労働や児童労働を禁止するとともに、各国・地域の法令遵守を徹底します。
2011年6月1日制定
人事担当役員を委員長とする人権啓発推進委員会を設置し、人事部長、各店の総務部長、および各職種の人事担当責任者などを委員とし、毎年1回開催しています。本委員会においては、人権啓発研修の実施状況についてのレビュー、今後の研修計画の立案のほか、メンタルヘルスケアやハラスメント防止などに対する取り組み、および障がい者雇用の促進など、事業内容や地域性に応じた課題について討議しています。
また、ハラスメント、障がい者差別など、人権侵害に関する相談窓口を社内外に設置し、社員だけでなく派遣社員や調達先の方も匿名で通報・相談できる仕組みを整えています。人権問題が発生した場合は、人事部が対応いたしますが、重大な案件については、危機管理委員会において発生要因を分析し、解決を図るとともに、そのプロセスや要因を人権デューデリジェンス実施の参考事例としています。
人権教育
すべての社員を対象にして、それぞれの階層に応じたテーマに焦点を当て、人権問題を主体的に捉える人権啓発研修を展開しています。この研修会では、SOGI(性的指向と性自認)、障がい者、同和問題、外国人、ダイバーシティ&インクルージョンなど、身近な人権のテーマ、また、ISO26000(※1)の発行やOECD多国籍企業行動指針の策定、持続可能な開発目標(SDGs)の採択など、ビジネスと人権に関する世界的な動向などを受けて、国際的な人権問題もテーマとして取り上げています。
そのほか、毎年、人権に関するテーマを設定し、全社員を対象にして研修を実施しています。 毎年12月10日の人権週間に合わせ、人権啓発標語を大林組グループ社員とその家族から募集し、優秀作品をポスターに掲示することで、啓発を推進しています。
このほか、セクシャルハラスメントおよびマタニティハラスメント防止対策として、ガイドラインを定めています。グローバルな事業展開をますます進めていく中で、国内だけでなく海外拠点においても各国、地域の労働法制などを遵守し、ダイバーシティ&インクルージョンの考え方をもとに事業に関わるすべての人々が安心して働ける環境づくりを推進しています。
※1 ISO26000
2010年11月に国際標準化機構(ISO)が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格
国連グローバル・コンパクトへの参加
大林組は、2013年8月に「国連グローバル・コンパクト」に参加しました。国連グローバル・コンパクトが掲げる「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」からなる10の原則を支持し、グローバル企業として責任ある経営を推進し、持続可能な社会づくりに貢献しています。
また、国連の提唱する「ビジネスと人権に関する指導原則」にのっとった人権問題への対応を進めています。
労使の取り組み
社員の基本的な権利を尊重し、各種法令をもとに労働条件を定めています。また、社員の結社の自由と団体交渉権を尊重し、労働協約を結んでおり、管理職などを除くすべての社員6,653人が組合員となっています。(組合員の資格のある者の加入率は100%)。
労働協議会や衛生委員会など労使による協議会を定期的に開催し、働きやすい職場環境の整備(時短推進、勤務体系、育児介護支援)、福利厚生制度や安全衛生、健康管理の推進など幅広いテーマについて話し合っています。労働条件の変更などは労使で協議する事項としてあらかじめ労使間で決定しています。
その他、社員に対し会社生活の満足度に関する調査を実施し、その意見を受けて制度の見直しなどを行っています。結果については社員向けに冊子を発行し、イントラネット上でも開示しています。
人材の多様性
大林組では、企業を支えるのは、社員一人ひとりの力であるとの考えに基づき、人間性を尊重しています。そのため、採用、昇進などのあらゆる局面で、人権方針で定めている人種・性別・国籍・宗教など、能力や職務遂行と関係ない理由による不当な差別は行いません。多様な人材が活躍できる職場づくりを推進しており、一人ひとりが個々の能力を最大限に発揮し、国内外で活躍しています。
適正な人事評価の実施
大林組では、適正な人事評価に基づく適切な処遇を人事制度の基本としています。人事評価は全社員を対象としており、上司と部下が年に2回目標や成果などを十分に話し合ってから行います。人事評価の透明性と納得性の確保を図るため、最終的な評価を本人が確認できる仕組みとしています。給与体系も定めており、性別や勤務地などを問わず人事評価が公平に給与体系に反映される仕組みとしています。
定年後の再雇用者による技術伝承
創業から受け継がれてきた「誠実なものづくりの姿勢」や「技術力」といった大林組のDNAの伝承に努めています。定年後再雇用制度は、定年退職者の新たな雇用の機会を提供するとともに、ベテラン社員がさまざまな分野で長年培ってきた経験や専門的知識を、若手社員に伝承することに寄与しています。
障がい者雇用の促進
大林組は2001年に特例子会社オーク・フレンドリーサービスを設立し、全国11ヵ所に事務所を設け、知的障がい者および精神障がい者の雇用に取り組んでいます。従業員は専門的な知識を持つジョブコーチの指導のもと、障がいの特性に配慮した仕事を担当し、社会と接しながら自立をめざしています。また定期的に特別支援学校の生徒をインターンシップ生として受け入れています。
人材の育成
創業から受け継がれてきた「誠実なものづくりの姿勢」や「技術力」といった大林組のDNAは、社員によって支えられています。人材が大林組にとって最も重要な経営資源の一つであるという考えのもと、人材の育成を重要な課題と位置付けています。2017年度は一人当たり約24時間の教育を実施しました。
大林組の教育制度
教育体系
新入社員は入社後の1ヵ月間は職種を問わず、社会人としてのビジネススキルを学ぶ集合研修を受けます。講義やディスカッションなどのグループワークなどの研修を終えた後、職種別に分かれ専門的なスキルを学びます。
実務職層は、職場内において1年を通じてPDCAのサイクルを回すことによって、一人ひとりに即した成長を実現していきます。同じ職場内で「指導員」を選任し、実務の基礎や知識、技術などを確実に身に付けられるようきめ細やかな指導を受けながら、各人の能力を伸ばしていきます。
また、全階層を対象に職場外教育として、大林組の職員として必要な知識やスキルを階層別に習得していく「共通集合研修」や、事業領域、業務領域に分かれた研修などがあります。
海外留学制度
若年・中堅社員の能力開発を目的に、海外の学校や研究機関、外国企業などへの留学を支援する制度を設けています。留学経験者は海外部門をはじめ、各分野で活躍しています。
関連情報
グローバル人材の育成
これまでの海外留学や海外企業派遣、語学研修などに加えて、2013年度からグローバルビジネスに必要な基礎知識を体系的に学ぶ研修として「グローバルリーダーシップ研修」を創設しました。各国の商慣習や海外現地スタッフのマネジメント手法、リスクマネジメントなどのノウハウを習得します。若年社員を中心に、年間30人程度を計画的に育成しています。
ナショナルスタッフの育成
大林組グループは、ナショナルスタッフ(海外グループ会社が現地で採用した社員)を対象に、大林組が持つ最新の建設技術や安全管理手法などの習得を目的に、日本国内での実務研修を継続的に実施しています。研修修了者は、各グループ会社の技術力の向上に寄与するとともにグループ連携を担う人材として活躍しています。
2017年度は、タイ、インドネシア、ベトナム、台湾、シンガポール、米国のナショナルスタッフ計23人が、日本国内の建設現場などで研修を受けました。
女性社員の活躍推進
人材が最も重要な経営資源の一つであるという考えのもと、早くから人物本位での採用、男女問わない適材適所の配属を行っています。女性技術者の中には、部長、現場所長をはじめ上級職として活躍している者もおり、女性役職者比率は2017年度末現在8.0%と業界トップの水準となっています。
また、女性技術者の意見交換会の定期的な開催、育児期間中の女性技術者が現場で勤務しやすい環境の検討など、さらなる女性活躍推進への取り組みも進めています。
次世代育成支援対策推進法が施行された2005年以降、女性が働きやすい制度の整備や積極的な活躍推進により、女性役職者数は2014年までに約5倍に達しました。今後は2024年までに、女性役職者比率を10%、技術系女性社員の比率を10%程度とすることを目標に掲げ、男女を問わず社員一人ひとりが活躍できる環境づくりを推進していきます。
女性活躍推進に向けた取り組みの遍歴
ワーク・ライフ・バランスの推進
総労働時間の縮減をめざして
建設業界では、建設現場における労働時間の縮減が重要な課題となっています。
大林組は、計画的な休暇の取得と時間外労働の縮減に向けた環境づくりや意識啓発を通じ、総労働時間の縮減に取り組んでいます。
- 会社と組合で総労働時間縮減のための協議会を開催するとともに、休日取得推進ポスターを配布
- 休暇取得を促進 (年次有給休暇の一斉取得/半日単位での年次有給休暇制度/勤続年数の節目でのリフレッシュ休暇制度/工事事務所勤務者が取得できる現場休暇制度/転勤時に取得できる転勤時休暇制度ほか)
- ノー残業デーの実施
仕事と子育ての両立を支援
未来を担う子どもたちと子育て期の社員のためにさまざまな制度を設け、仕事と子育ての両立をサポートしています。
子育てをサポートする各種制度
- 産前産後休暇制度
- 育児休職制度
- 配偶者出産時の休暇制度
- 育児のための短時間勤務制度
- 超過勤務の免除制度
- 看護休暇制度
- ベビーシッター費用補助制度
- 不妊治療費や子の教育費の貸付制度
次世代育成支援対策
大林組は、次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、育成される社会のために、企業としてのアクションプランを策定し、継続的に取り組んでいます。
第一次行動計画(計画期間:2005年4月~2007年9月)、第二次行動計画(計画期間:2007年10月~2009年9月)、第三次行動計画(計画期間:2009年10月~2011年9月)、第四次行動計画(計画期間:2011年10月~2015年3月)、第五次行動計画(計画期間:2015年4月~2017年3月)では、いずれも策定した目標を達成しました。現在は第六次行動計画のもとで、社内制度の整備と啓発を進めています。
関連情報
仕事と介護の両立を支援
高齢化社会の進展に伴い、働きながら介護をする社員の増加が見込まれています。大林組は、社員が安心して家族の介護に向き合えるよう、各種の制度を設けています。
- 介護休職制度
- 介護時間制度
- 介護休暇制度
- 介護サービス制度(電話相談、情報提供など)
- 失効した年次有給休暇を利用した介護休暇制度
- 介護補助金制度
心とからだの健康づくりの推進
働く人の心身の健康は、企業の活力を高めるうえでたいへん重要です。大林組は、社員が心身ともに健康で充実した生活を送れるよう、さまざまな取り組みを通して社員の健康づくりに努めています。
- メンタルヘルス対策(ストレスチェックの実施、専門医によるカウンセリング、メンタルヘルス研修など)
- 各種健康診断の実施
- 社外健康相談窓口の設置(電話、メールによる健康相談)
- 人間ドッグ受診費用の補助
- 禁煙治療
海外勤務者については、疾病発生のリスクが日本国内勤務と比較して高まると考え、新規海外勤務となる社員全員(2017年は42人)にA型・B型肝炎、破傷風に対する予防接種を推奨しています。渡航地域によっては、外務省が公表する情報をもとに、狂犬病、日本脳炎、腸チフスなどの予防接種も推奨しています。また、海外勤務者とその帯同家族を対象とした、電話やオンラインによる健康相談が可能な、ヘルスサポートも設置しています。
その他、国内でも建設現場において特殊な作業を行う者については、特殊健康診断を義務付け、健康の維持管理を図っています。
メンタルヘルス
大林組は、すべての人が健康に働ける環境を整備するため、さまざまな機会を捉えて社員のメンタルヘルスケアに取り組んでいます。 一人ひとりがメンタルヘルスに関する正しい知識を習得し、自分自身の心の健康を保てるよう、若年層、中間管理職層、上級管理職の各階層別研修において各種のメンタルヘルス研修を年間を通じて行っています。
また、社員が気軽に利用できる相談窓口の充実に努めており、24時間利用できる社外相談窓口のほか、社内にも「心の健康相談室」を設置し、ストレスマネジメントなどの情報を提供するなど、専門医や臨床心理士(カウンセラー)が社員のメンタルヘルスをきめ細かくサポートしています。
本社健康管理センター「心の健康相談室」臨床心理士 石井留美先生から
ストレスの多い現代社会において、メンタルヘルス対策の重要性はますます高まっています。研修では、認知行動療法を取り入れ、自分のストレスに気付き、対処する方法を学ぶ「セルフケア」や部下とのコミュニケーションや不調者への対応方法を学ぶ「ラインケア」を中心に行っています。
また、心の健康相談室では、社員の皆さんへの相談や、職場復帰へのサポートや調整を通じ、社員の皆さんが活き活きと働ける職場環境づくりのお手伝いをしています。
社員の意識調査の実施
大林組は、働きがいのある環境づくりのため、社員の意識調査を全社員に定期的に実施し、各種制度の見直しや新設に反映させています。近年では、休暇に関する制度などの見直しを行いました。調査結果については、社内報に掲載し、社員の満足度向上をめざしています。