生物多様性の保全

より良い環境を未来へ

大林組は、すべての事業活動を通じて環境への影響に配慮し、その保全に努め、持続的な発展が可能な社会づくりに貢献することを「環境方針」に掲げています。そして、2009年5月には「生物多様性に関する方針」を制定しました。

事業活動においては、緑地整備などの工事や設計、提案、研究開発などを通して、生態系の保全に努めるとともに、建設現場や周辺地域における負荷の低減にも取り組んでいます。大林組は、子どもたちの世代においても人と自然が共生できるよう、より良い環境を未来へ引き継いでいきます。

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5つのゾーンにおける取り組み

地域固有の生態系を、地域の特性に応じて保全・再生・創造へ

生物多様性の保全にあたっては、地形・地質や気候などの自然的基盤や、生きものと人間の関係によって大別された「ゾーン」のなかで、地域固有の生態系を地域の特性に応じて保全・再生・創造することが求められています。

大林組では、事業活動やお客様の事業への協力などを通じて、残された自然の保全、過去に損なわれた自然の再生、絶滅の危機に瀕した種の個体数や生息・生育環境の維持・回復などに取り組んでいます。

奥山

自然植物の多くが分布する奥山では、工事の前に現地の生態系を調査し、希少種の保全に配慮した計画を立てています。

希少猛禽類の保護・配慮

ダムやトンネル工事では、クマタカやイヌワシなど希少猛禽類の営巣木に影響を与えない工法を採用し、繁殖期に配慮した工事スケジュールで進めています。また、工事設備を緑色にしたり、光や音を抑えたりして、鳥たちに刺激を与えないようにしています。

シューパロダムの昆虫採集

北海道夕張市のシューパロダム建設現場では、近隣の小学生29名を対象に課外授業を開催しました。夕張の大自然や生きものに目を向けてもらおうと企画したもので、現場付近の広場で昆虫採集し、その生態系を夕張岳の歴史とともに学びました。

保有林の維持管理

林野庁から認可を受けて約310ヘクタールの森林を維持管理しています。樹木の下の雑草などを刈り取る「下刈」や、適当な間隔で木を伐採する「間伐」、幼齢林のために不要な樹木を切り除く「除伐」などで管理し、健全な森林生態系を維持しています。

熱帯材使用の削減

コンクリート工事に使う型枠に熱帯材をできるだけ使用しないように、「グリーン調達ガイドライン」を定め、金属やプラスチック、リサイクル木材など代替型枠の使用を推進しています。

里山

二次林と人工林、農地、ため池、草原などで構成される里山では、絶滅危惧種の調査・研究で保全技術を培っています。

絶滅危惧種キンランと雑木林の保全

大林組技術研究所(東京都清瀬市)の敷地には、約1.8ヘクタールの雑木林があります。国内絶滅危惧種のキンランが群生しており、分布状況の調査や保全するための研究などを続けています。

自然風景の再生

北海道帯広市に程近い六花亭製菓の工場用地で、河川跡を再生してせせらぎと池を作り、水辺の草花や水辺を囲む緑の回廊を作りました。水辺には植物が蘇生して、小動物も集まるようになりました。

カブトムシの寄贈

大林道路備前営業所では、道路の維持補修などのほか、伐採した沿道の木枝や倒木を利用して堆肥作りにも取り組んでいます。堆肥の中で生まれたカブトムシの幼虫を子供たちの学習に役立ててもらおうと、2008年から小学校などに寄贈しています。

森林整備活動

大林組北陸支店金沢営業所では、(社)石川の森づくり推進協会に参加して森林整備活動に参加しています。

水辺

生息環境が脅かされている水辺の生きものを守るため、自然環境に配慮しながら工事を進めています。

魚への配慮と水質管理

河川工事では、施工範囲を区分けして魚の泳路に配慮しているほか、水生植物や魚の卵などに泥が堆積しないよう、汚濁防止フェンスの設置方法を工夫しています。また、工事が原因で水質を汚濁しないよう、水質管理を徹底しながら施工しています。

街の緑地にいる生きものを調査して、生きものが好む緑地を造るための技術開発を進めています。

都市の屋上緑化公園を創造

大阪市のなんばパークスで、屋上緑化した事例です。グラウンドレベルから地上9階まで連続する段丘状の立体空間を造り、大阪の風土林を保全・再生しました。地域のグリーンネットワーク拠点をめざし、より良い都市緑地にするため継続的に環境調査しています。

高校の屋上緑化試験に協力

京都府立桂高校「草花クラブ」による屋上緑化試験で、大林組技術研究所の研究員が生徒さんや先生とともに校舎屋上に試験場を設置し、技術をアドバイスしました。今後も、屋上緑化の経験を活かして支援していきます。草花クラブでは、在来種のノシバをマット化する技術を、若草山の植生回復に使うことも試みています。

樹蛙(スーワァ)の保護活動に協力

台湾・台北市の公園内には台湾の環境保護のシンボル・樹蛙(カエルの一種)が生息しており、保護活動が熱心に行われています。大林組の工事事務所では、地域の保護活動に協力するとともに、樹蛙保護祭りで開催された蛙の絵コンテストで優秀賞を受賞した作品を仮囲いに拡大展示しました。

沿岸の自然再生や水域の浄化を通して、海の生きものを守っています。

珊瑚礁の再生への協力

高知県の竜串海中公園地区で、珊瑚礁の再生に向けた浚渫工事を担いました。西南豪雨災害で土砂が多量流入し、サンゴが減衰していましたが、堆積泥土をホースで吸引して除去し、卓上ミドリイシ群集が回復しつつあります。
(写真:竹葉秀三氏)

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