11年連続、技術研究所の雑木林に咲く貴重種キンランの観察会を実施

生物多様性の保全・観察を通じて地域交流とSDGsに貢献

サステナビリティ

キンラン
開花直前のキンラン。日本に分布するラン科植物(約300種)の70%が絶滅危惧種に指定されています
       

4月26日、大林組技術研究所(東京都清瀬市)の敷地内にある雑木林で「清瀬の自然を守る会」の会員14人を招いて自然観察会を行いました。2009年から開始し、今年で11回目の開催となります。

約1.8haの雑木林には、東京都の絶滅危惧Ⅱ類に指定されているキンラン、ギンラン、ササバギンランなどが群生しています。ラン科植物は、地中の菌類(菌根菌、キノコの仲間)から栄養を得て生育していることが最近の調査として報告されており、雑木林と土壌の環境を維持することが重要と認識されています。

大林組では1998年から、雑木林やキンランなどを保全するため、研究所内のキンランの個体数や分布、生育状況などのモニタリングを実施しています。

ササやつる草を適度に刈り取り、落枝(らくし)や倒木を除去するなど、林床を明るく、風通しをよくすることは、雑木林だけでなく、栄養を与える菌類にとっても適度な環境を保つことになります。21年間管理を継続することで、キンランの個体数は233個体から635個体に増加しました。

観察会では、大林組の研究員がガイド役を務め、雑木林で育まれる動植物について説明。参加者からは「キンランの発芽は土の中に菌がないとできないことを初めて知った」「武蔵野の昔がしのばれる」などの感想が寄せられました。

大林組は、中期経営計画に掲げた「目指す将来像」を見据え、大林組グループが取り組むESG(環境・社会・ガバナンス)マテリアリティ(課題)に「環境に配慮した社会の形成」を掲げました。生物多様性の保全や自然共生に有効な取り組みを推進するとともに、それらを通じてSDGs(持続可能な開発目標)(※1)達成にも貢献しています。

当日は小雨が降る中、草刈りしたルートを1時間かけて観察しました
当日は小雨が降る中、草刈りしたルートを1時間かけて観察。一ヵ所に長く留まらないことや足元のランの発見を呼びかけました
白色の花を咲かせるギンラン
草丈約15cm、白色の花を咲かせるギンラン

今後も生態系の調査や保全技術の開発、社会とのコミュニケーションなどを積極的に進め、豊かな暮らしを未来へと引き継げるよう努めてまいります。

※1 SDGs(Sustainable Development Goals)
2015年、国連サミットにおいて持続可能な開発のための行動計画として掲げられた17の目標。企業の主体的な取り組みが求められている