新しい枠付きブレース増設補強工法『3Q-Brace』を開発

低騒音・低振動、短工期で建物を使いながら耐震補強が可能に

プレスリリース

(株)大林組(本社:東京都港区、社長:白石 達)は、低騒音・低振動、短工期で建物を使いながら耐震補強が行える、RC造建築物の枠付きブレース増設補強工法『3Q-Brace(サンキューブレース)(※1)』を開発しました。

耐震補強工事で屋内に枠付き鉄骨ブレースを増設する場合、大きな部材を建物内へ搬入し、現場で組み立てた後、部材の継手を溶接してブレースを構築し、ブレース枠と躯体を施工アンカーの打設によって一体化させるため、打設時の騒音・振動をはじめ、溶接作業における火災や臭気への対策が必要となります。さらに、組み立てた鉄骨ブレースの建て起こしやクレーンでの建て込み作業に、広いスペースや大掛かりな機材が必要となるため、建物を使いながら補強する上で大きな課題となっていました。

今回大林組が開発した『3Q-Brace』は、分割された軽量な鋼管を用いて、溶接せずにブレースを構築するRC造建築物の耐震補強工法です。大きな部材や機材を使用せず、ブレース枠と躯体を主に接着剤を使用して一体化させるため、低騒音・低振動、短工期で建物を使いながらの耐震補強が可能となります。


枠付きブレース増設補強工法『3Q-Brace』の特長は次のとおりです。

■ Quiet・・・低騒音で低振動
既存躯体と3Q-Braceの一体化には、主に接着剤を用いているため、施工アンカーの打設による騒音や振動が大幅に低減されます。


■ Quick・・・短工期化
分割された軽量な鋼管でブレースを構築しているため、省スペース施工が可能となります。これにより、補強工事による家具や機材の移動を大幅に抑えることができ、工期の短縮が図れます。


■ High-Quality・・・高品質
鋼管の継手部は、鋼管内部の鉄筋相互を信頼性の高い機械式継手で接続した後、高強度で高品質のグラウトを充填して一体化させているため、現場での溶接を必要としない高品質な耐震補強工法です。また、構成部材はエレベーターで運べる程度に小型で軽量なため、ブレース設置場所の制約を受けず、高い施工性を発揮します。


3Q-Brace

3Q-Brace

3Q-Braceの完成状況

これら『3Q-Brace』の特長により、従来の枠付き鉄骨ブレース工法では困難であった、建物を使いながらの補強が可能となることから、例えば、病院やホテルなどの24時間稼働する建物に最適な耐震補強工法です。当工法は、財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しています。

大林組では、既に壁の増設工法「3Q-Wall(サンキューウォール)(※2)」、柱の補強工法「3Q-Column(サンキューコラム)(※3)」を実用化しており、今回新たにブレース増設補強向けに開発した「3Q-Brace」によって、補強方法や補強対象部位にとらわれることなく、あらゆるRC造建物の使いながらの補強が可能となりました。
今回開発した「3Q-Brace」をはじめとして、「3Qシリーズ」を積極的に提案し、建物の耐震性の向上を通じて安心・安全な社会の実現に貢献していきたいと考えています。


※1:「3Q」とは、Quiet, Quick and High-Qualityを意味し、大林組の低騒音・低振動、短工期で高品質な耐震補強工法を表しています

※2:3Q-Wall:壁の増設を目的に開発された各種ブロックを用いた耐震補強工法

※3:3Q-Column:JR東海、大林組、新日鉄エンジニアリング、ジェイアール東海コンサルタンツにより「既存鉄道コンクリート高架橋等の耐震補強工法」として共同開発した「鋼製パネル組立補強工法」を、建築物の柱に適用するため、大林組、新日鉄エンジニアリングが(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得した建築柱の補強工法