12月2日、東京都千代田区で、環境省が主催する「平成27年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」の式典が行われ、大林組の「高効率・低コスト型の分岐管式地中熱利用システムの開発」が技術開発・製品化部門で表彰されました。
環境省は地球温暖化対策を推進する一環として、地球温暖化防止に顕著な功績のあった個人や団体を、1998(平成10)年から毎年表彰しています。
今回受賞した技術は、地中熱(※1)を利用するヒートポンプシステムにおいて、地中から熱を効率的に取り出すため、地中熱交換器の採熱管(水などを流すチューブ)の数を増やし、かつそれぞれが近接しないように分岐管などを利用したものです。
従来の地中熱交換器は、地中へ送る管と地中から環(かえ)る管が密着していましたが、分岐管方式では、配管距離を一定に保ち、熱の干渉を抑えたことで、従来に比べて採熱・放熱率を20%以上向上させました。
今回の受賞では、二酸化炭素(CO2)対策技術として期待されている地中熱を利用している点、高価な代替え材料を使わずに、採熱方法に工夫を加えることによって、高効率化を達成した点が評価されました。
大林組は、地中熱などの再生可能エネルギーを活用することで、地球環境の保全に取り組み、これからも低炭素社会の実現に向けて、新技術の開発に努めてまいります。
分岐管型地中熱交換器とは
地中熱を利用するヒートポンプシステムにおいて、地中から熱を取り出すための装置が地中熱交換器です。
水は地中熱交換器を通ることで適性な温度に変化していきます
地中に水を送る管と地中から環る管のうち、送りこむ管の方が周りの影響を受けにくいため、分岐管方式によって送り管の数を増やして効率を高めています。
冷水と温水の距離を一定に保つことで採熱効率を20%向上させます
送り管と環り管との間隔を保持する専用ストッパーを1~2m間隔で装着。配管距離を一定に保つことで採熱効率を高めています。
送り管の本数を、環り管よりも多く組み合わせることで、環り管の流速を速め、さらに採熱効率を高めています。
組み立てを容易にして施工コストを25%削減します
地中熱交換器の設置に伴う掘削方法を改良したことで、工期短縮を図ります。
専用のホースリール、簡易に接続できる電気融着ソケット、複数の採熱管を一体化させる管底キャップの開発により、熟練工でなくても設置できます。