株式会社大林組
京都大学
独立行政法人防災科学技術研究所
清水建設株式会社
(株)大林組は、清水建設(株)、(独)防災科学技術研究所、京都大学防災研究所と、実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を活用した、鉄筋コンクリート(RC)造6層建物の30%縮小試験体が崩壊するまでの挙動を検証する振動台実験を、2015年1月20~22日に実施しました。
この実験は、京都大学、(株)小堀鐸二研究所、(独)防災科学技術研究所、(株)大林組、清水建設(株)、鹿島建設(株)、大成建設(株)、(株)竹中工務店が取り組む、文部科学省からの委託研究「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト-都市機能の維持・回復に関する調査研究-」の一環として実施されたものです。
得られた貴重なデータを基に今後も詳細な検討を継続しますが、現時点で得られた結果の概要は以下の通りです。詳しくは別記資料「RC造6層建物のE-ディフェンス振動台実験結果」(PDF)をご確認ください。
(1)現行の設計基準に基づく一般的な板状共同住宅を模したRC造建物が、建築基準法で定められる必要保有水平耐力相当の地震力を受けても構造体はほぼ継続使用状態にとどまることを確認した。なお、このときの地震動は阪神淡路大震災の神戸海洋気象台の観測波を基に大きさを55%としたもの(以下、観測波の55%と示す)であった。
(2)当該建物の地震に対する最大限の抵抗力である保有水平耐力に到達以前であれば、前記必要保有水平耐力相当地震力の1.0~1.3倍の地震力を、複数回受けても耐力劣化は観察されず、崩壊までには余裕があることを確認した。
(3)さらに大きな地震動として前記観測波の120%を用いた加振により建物の保有水平耐力を確認した。この保有水平耐力は必要保有水平耐力の約2倍であった。次に、前記観測波の140%の加振により、1・2階の損傷と変形が著しく進行し、構造的な安全限界状態に達したことを確認した。最終的には、阪神淡路大震災のJR鷹取駅での観測波の120%の加振により崩壊状態に至った。
(4)今回の実験により、RC造建物が最終崩壊に至るまでの部材の損傷の進行の仕方や、壁や柱の破壊と建物全体の安全性の関係を把握するとともに、貴重な各種データを取得した。
(5)同時に実施した“健全度即時評価モニタリングシステム”の検証実験において、各加振の直後にシステムによる建物の健全度の即時評価を試行し、被災建物の健全度の判断材料となり得る各種指標を地震直後に速やかに評価できる可能性が示された。
(6)今後の詳細なデータ分析やシミュレーション解析により、より多くの新知見が得られ、今後の鉄筋コンクリート造建物の設計や地震に対する安全性の評価に役立つ成果が期待される。
1. 実験主体:(株)大林組、清水建設(株)、京都大学、(独)防災科学技術研究所
2. 実験結果: 別記資料「RC造6層建物のE-ディフェンス振動台実験結果」(PDF)
以上
この件に関するお問い合わせ先
防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター
研究支援チーム
TEL 0794-85-8211
E-mail:e-def@bosai.go.jp
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。