出力変動緩和のための低コスト蓄電池システムを開発し、太陽光発電所へ導入

蓄電池用パワーコンディショナと蓄電池の容量などを最適化し、低コストを実現

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、出力変動を緩和するための低コスト蓄電池システムを開発し、釧路町有地での太陽光発電所(以下 釧路メガソーラー)に導入します。新たに開発した蓄電池システムは、設備容量(蓄電池用パワーコンディショナ、蓄電池の容量など)を最適化することで、設置コストおよび固定価格買取制度(FIT)で定める買取期間(20年間)に要する運用コストを抑えつつ、北海道電力の技術要件(※1)に適合するものとなっています。

釧路メガソーラー

釧路メガソーラー

太陽光発電や風力発電は、自然条件(日射、気温、風速など)の影響で急激な出力変動を生じることがあり、電力系統への接続量が増加した場合には、系統の電圧、周波数に影響を及ぼす恐れがあります。北海道においては、すでに太陽光発電と風力発電の系統への接続量は、安定上の限度に達しており、さらなる接続には蓄電池システムの併設による出力変動緩和対策が必要とされています(※2)。

大型蓄電池システムイメージ

大型蓄電池システムイメージ

本蓄電池システムの開発に当たっては、大林組、三菱電機株式会社、株式会社GSユアサが共同開発チームを組成し、実際の太陽光発電所の出力変動データを用いて検討を重ねました。

主な成果は、(1)太陽光発電所特有の出力変動を緩和する制御アルゴリズムの構築、(2)蓄電池劣化を極力抑制するための最適な運用容量の割り出し、(3)選定した蓄電池の劣化に伴って必要となる追加容量と追加時期の最適化です。

これらの成果を踏まえ、設置からFIT期間満了までのライフサイクルコスト(設置費、維持管理費、蓄電池システムによる制御後の売電量の減少など)を抑えつつ、太陽光発電所の出力変動緩和が可能な蓄電池システムを開発し、本システムが北海道電力の技術要件に適合することを確認したうえで、釧路メガソーラーに設置しました(発電所運転開始は2017年4月を予定)。

大林組は、蓄電池システムの開発や今後の運用で得られるノウハウを活かし、蓄電池併設型太陽光発電所や風力発電所のEPC(※3)での受注に積極的に取り組んでいきます。また、変動電源である太陽光発電や風力発電と既存の電力系統との調和性を高めるソリューションを提供することで、再生可能エネルギーの可能性を広げていきます。

大林組はこれまでも、技術研究所(東京都清瀬市)において電力負荷平準化(ピークカットなど)や停電時の電力供給用途でレドックスフロー電池やリチウムイオン電池を用いたスマートエネルギーシステム(※4)を導入するなど、環境に調和したエネルギーマネジメント技術の開発、実証を行ってきました。今後も、建設事業や再生可能エネルギー事業を通じて、電力負荷やエネルギーコストの低減、省CO2型社会の構築など、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

【釧路メガソーラー(釧路町太陽光発電所)の概要】

  • 場所:北海道釧路郡釧路町字トリトウシ原野

  • 発電事業者:株式会社大林クリーンエナジー(※5)

  • 発電設備規模:太陽電池パネル17.9MW、発電所定格出力14.5MW

  • 蓄電池PCS出力:10MW

  • 蓄電池容量:6.75MWh(リチウムイオン電池)

  • 完成予定:2017年4月

  • 備考:平成26年度補正予算再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金(再生可能エネルギー発電事業者のための蓄電システム導入支援事業)申請中

※1 出力変動緩和対策の技術要件
平成25年7月18日の北海道電力による通知「出力変動緩和対策を行う太陽光発電所の連系について」により、すべての時間において、太陽光発電設備と蓄電池などの合成出力の変化速度を「発電所定格出力の1%以下/分」とすることが出力変動緩和対策の技術要件とされた

※2 北海道における太陽光発電接続量の制限
平成25年4月17日の資源エネルギー庁による通達「北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応」により、北海道における大規模太陽光発電の接続が限界に近づきつつあることが公表され、同日の北海道電力による通知「メガソーラー接続量についてのお知らせ」により、特別高圧連系(2,000kW以上)の接続量の限界値は40万kW程度であると公表された。接続量40万kWを超えて新たに連系する大規模発電所は、蓄電池システムを事業者が設置し、出力変動緩和対策を行うことが系統連系の条件とされている

※3 EPC
設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の略称

※4 スマートエネルギーシステム
大林組が開発した、各種の分散型電源(大規模な太陽光発電設備、マイクロコンバインド発電システム、大型蓄電池など)をEMS(エネルギーマネジメントシステム)によって最適に制御することで、受電電力の平準化、環境負荷の低減、停電時の電力供給などを実現するシステム

※5 株式会社大林クリーンエナジー(本社:東京都港区、社長:入矢桂史郎)
大林組の100%子会社。国内28ヵ所の太陽光発電事業(合計128MW)、木質バイオマス発電事業(14.5MW)および風力発電事業(6MW)を展開(建設中を含む)

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。