光式センサーによる岩盤内モニタリング

マルチ光計測プローブ

岩盤内の亀裂の発生や水位・温度・ひずみの変化を長期間モニタリングします

構造物の破壊や損傷度合いを長期間測定する計測用モジュールです。微小破壊音(超音波振動(AE))(※1)、間隙水圧、温度、ひずみのそれぞれを測定する光センサーをプローブ(※2)内に組み込むことで、1本のボーリング孔内で4種類の異なる諸量を関連付けて測定できるため、構造物の状況を高精度に評価できます。なお、従来に比べてボーリング孔数を減らすことができることから、測定コストを縮減できます。

図1 マルチ光計測プローブの構造

図1 マルチ光計測プローブの構造

1 岩盤内の亀裂発生位置や分布を可視化できます
  • 亀裂が発生する際に生じるAEを測定し、2次元もしくは3次元空間に亀裂の発生位置や分布をリアルタイムに可視化することで、損傷状態や損傷範囲を評価できます。
2 水圧の変化を可視化できます
  • 間隙水圧の変化を測定し、地下水の流れや変動状況をリアルタイムに可視化することで、飽和・不飽和状態を評価できます。
3 温度の変化を可視化できます
  • 水温や地温の変化を測定し、地下の温度分布をリアルタイムに可視化することで、外気や地下水変動の影響度合いや影響範囲を評価できます。
4 長期モニタリングが可能です
  • センサーおよび計測ケーブルに光ファイバーを使用し、電気を流さない計測方法のため、高湿度や可燃性ガスが噴出する環境下でも長期間の測定を保障します。
  • 高い圧力がかかり、大量出水が予想される大深度地下でも、施工中から供用に至るまで長い期間にわたり測定できます。
5 測定コストを縮減できます
  • 従来技術より必要なボーリング孔数を減らすことができるため、測定コストを縮減できます。

【実績・適用例】

光式AEセンサー、光式間隙水圧センサーおよび光式センサーを組み込んだマルチ光計測プローブ(図1)は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)との共同研究で、北海道天塩郡の幌延深地層研究センターの深度350mの地下施設(図2、3)での長期モニタリングに適用されています。
モニタリング期間:2014年1月14日~2019年3月31日(JAEAの方針次第で変わることがあります)

図2 幌延深地層研究センター 地下施設

図2 幌延深地層研究センター 地下施設

図3 マルチ光計測プローブ設置ヵ所(図2 計測地点)

図3 マルチ光計測プローブ設置箇所(図2の計測地点)


※1 微小破壊音(超音波振動(AE))
岩石や岩盤をはじめとする固体材料に何らかの外力が作用すると、材料には変形が生じ、その結果微小亀裂が生じることになります。変形の増大とともに発生した微小亀裂は逐次進展し、連結して最終的には破断面を形成する巨視的破壊段階へ至ることになります。変形が生じる過程で、材料内部からは微小破壊音、電磁波、熱が発生することになります。特に、微小破壊音である弾性波動(ほとんどは人間が聞き取れない超音波)が発生する現象を、AEと称しています

※2 プローブ
さまざまな機械構造を内在している計測用モジュール

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