国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社大林組
川崎重工業株式会社
NEDO事業において株式会社大林組と川崎重工業株式会社は、世界で初めて、市街地で水素による熱と電気を近隣の公共施設に供給するシステムの実証試験を開始します。両社は12月10日に実証プラントを神戸ポートアイランド地域に完成させ、今後、システムの安定性や運用性について実証します。
実証試験では、水素を燃料とする1MW級ガスタービン発電設備(水素コジェネレーションシステム)から発生させた熱や電気を、病院などの近隣4施設に供給し、地域コミュニティ内でのエネルギー最適制御システムの運用を検証します。
- 概要
水素は、ガスタービンによる発電や燃料電池自動車などさまざまな用途で利用が可能で、エネルギーとして利用する際にCO2を排出しません。NEDOは、水素の利活用を進めるために、本格的なサプライチェーンの構築やエネルギー供給システムの確立に必要な技術開発を実施しています。
今回のNEDO事業(※1)において、助成先実施者の株式会社大林組と川崎重工業株式会社は、世界で初めて(※2)、市街地で水素を燃料とした熱と電気を近隣施設に供給するシステムの実証試験を開始します。
両社は12月10日に、1MW級水素ガスタービン発電設備「水素コジェネレーションシステム(水素CGS)(※3)」の実証プラントを、神戸ポートアイランド地域に完成させました。開発した水素CGSは、水素だけを燃料とすること(専焼)も、水素と天然ガスを任意の割合で混ぜ合わせたものを燃料とすること(混焼)も可能です。実証試験を通じて、燃焼安定性や運用性を確認します(図2、3)。
また、実証試験では、水素CGSから発生した熱(蒸気)や電気を近隣4施設(ポートアイランドスポーツセンター、神戸国際展示場、下水処理場、中央市民病院)に供給することを通じて、地域コミュニティ内でのエネルギーの最適制御システムの運用性を確認します。燃料となる「水素」と「天然ガス」、コミュニティで利用する「熱」と「電気」、これらを総合管理し、経済性や環境性の観点から最適制御するために開発した統合型エネルギーマネジメントシステム(統合型EMS(※4))を検証します。
今後、各設備や機器の試運転を進め、来年1月下旬からの実証運転に取り組み、同年2月上旬から近隣施設への熱と電気の試験供給を開始する計画です。
- 実証内容
- (1)水素コジェネレーションシステム(水素CGS)の開発
担当:川崎重工業株式会社
・水素専焼、水素と天然ガスの混焼において、安定した燃焼を実現する技術の確立
・水素と天然ガスの燃焼(専焼・混焼)が可能な1MW級のガスタービンを設置し、運転試験により出力、回転数、排気温度、圧力などの各種データを取得し、運転および 運用の安定性を確認 - (2)統合型エネルギーマネジメントシステム(統合型EMS)の開発
担当:株式会社大林組(事業幹事社)、大阪大学(共同研究者)
・電気、熱、水素を総合管理し、経済性と環境性を確保できるエネルギーマネジメントシステムを確立
- (1)水素コジェネレーションシステム(水素CGS)の開発
以上
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