株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、震災などで発生した災害廃棄物に含まれる混合廃棄物を有効活用した建設資材「アップサイクルブロック」を開発しました。
東日本大震災では東北3県(宮城県、福島県、岩手県)で、約1,800万t(2012年8月31日現在)の災害廃棄物が発生しました。災害廃棄物は選別・分級しリサイクルが図られていますが、リサイクルできない混合廃棄物(以下、がれき残渣(ざんさ))が全体の約1割発生しています。現在、がれき残渣については、不燃物としてそのまま最終処分場で埋め立て処分されていますが、最終処分場の残存容量が逼迫(ひっぱく)し、処分先の確保が困難となってきています。
「アップサイクルブロック」は、がれき残渣を有効活用した、安全かつ良好な品質の建設資材であり、防潮堤や防潮林、避難高台などの盛土材料として利用することで、がれき残渣の処分量を減少させるとともに、被災地の早期復興を図ることができます。
「アップサイクルブロック」の主な特長は以下のとおりです。
- がれき残渣の最終処分量を削減
がれき残渣を活用した建設資材の生産により、がれき残渣を最終処分する場合に比べてコストを10%削減できます。また、最終処分量を縮減できるため、既設最終処分場への負担を軽減するとともに、最終処分場の拡張や新設に要する時間・コストを縮減できます。
- 環境に安全な建設資材として再生
「アップサイクルブロック」で扱うがれき残渣に、万一、重金属類などの有害物質が混入・含有しても、がれき残渣をセメントで固化することで有害物質が製品から溶出しない(不溶化する)方法を考案し、周辺環境に悪影響を及ぼさない安全な建設資材であることを確認しています。
- 安定した品質を確保
震災などで発生するがれき残渣には、木材、ゴム、プラスチックなど圧縮性の高いものが混じっており、その混入率が一定でないため、これらを単に固化材と練り混ぜただけでは、品質に大きなバラツキが生じます。そこで、固化材との混練後に締め固め処理などを施すことにより品質のバラツキを抑制する方法を考案しました。
発生地域によっても異なる混在物質の、物理的(粒径、密度など)かつ化学的(分解性、安全性など)な特性にも対応した製品製作が可能であり、要求される品質基準(強度、出来形)を満足できる建設資材として供給できます。
大林組の災害廃棄物処理現場では、「アップサイクルブロック」を盛土用ブロックとして実際に製作し、実物大盛土を築造する実証実験を行っています(2012年11月現在)。なお、本技術開発は、その一部を国土交通省の平成23年度補正予算 建設技術研究開発助成制度「震災対応型技術開発公募」の助成を受け6者共同(※1)で実施したものです。
大林組は、「アップサイクルブロック」により、がれき残渣の最終処分量の削減と建設資材の供給を同時に実現することで、被災地の復興事業に貢献するとともに、これからも社会的な課題の解決に向けた技術の開発を進めていきます。
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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