株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、持続可能な社会の実現に向けた社会や環境への取り組みの一環として、平成23年3月に竣工した名古屋支店の単身・独身寮である「オーク千種」を、大規模自然災害時の初動拠点と位置付けて整備しました。
大規模自然災害発生初期には、同時多発する災害や救助事象に対して公的機関の対応力とともに、被害の軽減策として、地域の事業者や住民が連携して被害軽減活動を展開することが重要であると指摘されています。また、地域での救助活動や復旧活動を効果的に推進していくためには、拠点施設として、通信・備蓄・非常用電源といった側面での機能向上が不可欠です。
今回整備した大林組社員寮では、災害時の復旧活動拠点としての体制整備を行い、通信・備蓄・非常用電源などの直接的な防災への備えを充実させました。災害対応体制の整備にあたっては、危機管理情報の専門企業である株式会社レスキューナウ(本社:東京都品川区、社長:高橋伸郎)の初動対応フレームワーク“Rescue9”を採用し、(1)初動対応手順の策定、(2)情報収集体制の構築、(3)初動拠点として必要となる災害対策備蓄の配備を行いました。
さらに、災害対応体制の整備だけではなく、自然エネルギーの利用や省エネルギー設備の配置、緑化や生物多様性への貢献を図るなど、環境配慮型施設としての機能も付加しています。
「オーク千種」の主な特長は以下の通りです。
- 初動拠点としての非常時対応型事務室
寮の一角には、非常用電源を備えた非常時事務室を設置しました。加えて、大林組名古屋支店と寮に、衛星携帯電話や無線機などの通信機を備え、災害時に初動要員と位置付けられた100人を超える寮員と、防災拠点となる名古屋支店との通信手段を確保しました。
- 初動要員としての行動指針
「オーク千種」では、単身・独身寮として122室の寮室があります。寮員の日常的なコミュニケーションを非常時に活かし、災害発生時には初動要員として迅速に対応できるように、独自の行動指針などの整備を進めています。
- 非常時に地域に貢献する施設
非常時においては、地域住民の方々にも利用していただけるように、以下の備蓄品を用意しました。
飲料水:1,000リットル(予定)
食糧:2,000食(予定)
マンホールトイレ:2基(予定)
AED:1台
かまどとして利用できる防災ベンチ:1台
生活用水(平時は散水やトイレ洗浄水用として利用する、井戸や雨水貯留槽を設置):1t
- 外部環境の整備
東側の庭園には、防災ベンチや井戸、雨水貯留槽のほか、手洗い場・足洗い場やデッキ下倉庫があり、いずれも災害時には地域住民の方々へ開放します。緊急用設備を、寮員が日常的にも利用することで保守・点検となり、非常時の備えとしています。
- 自然エネルギーの有効利用
太陽光発電設備(屋上30kW・地上1.3kW)を設置し、日常の電力として利用するほか、余剰電力は売電し有効利用します。また、太陽熱利用設備(集熱器59.5m2・蓄熱槽5.0t)を設置し、建物全体の給湯および共用浴場昇温用に利用しています。年間給湯負荷の約20%に相当するエネルギーを太陽熱で賄いCO2排出量を削減します。太陽光・太陽熱発電は、平成22年度新エネルギー等事業者支援対策事業として補助金事業に採択されました。
また、外部デッキエリアには、レンズを利用して集光発電する新しいタイプの太陽電池も採用しており、地域への環境アピールにも貢献しています。 - 省エネルギー
LED照明器具、人感センサー、超節水型器具、雨水利用設備、太陽熱利用設備などの省エネルギー設備を設置しました。また、敷地面積の25%を超える緑化(屋上緑化、壁面緑化)をして、建物の熱負荷を低減し、省エネルギーに貢献しています。
この緑化への取り組みは、平成22年度名古屋市 民間施設緑化支援事業に採択され、名古屋市のナイスグリーン施設にも選ばれました。 - 寮員の日常の連携促進と生物多様性貢献
寮員が自主的に栽培や飼育をする、共同菜園(3階屋上)とミツバチの巣箱(2階屋上)を設けました。寮員が共同で育てることで、日常的に連携を深めることができ、菜園の収穫物については、日々の食事で提供されることから、生物多様性への意識向上の一助となります。
大林組は、今後も災害から暮らしを守る技術・サービスの開発・提供を進め、社会に安全・安心をお届けしてまいります。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。
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