廃棄物最終処分場に敷設する「導電性自己修復マット」を開発

導電性マットと自己修復マットの一体化により低コスト、短工期で遮水シートを敷設

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、廃棄物最終処分場において遮水シートの破損による漏水を検知する導電性マットと、素材の特性で小さな穴や隙間をふさぐ自己修復マットを一体化し、低コスト、短工期を実現する「導電性自己修復マット」を開発しました。

導電性自己修復マットの敷設作業

廃棄物最終処分場においては、廃棄物に浸透した雨水(浸出水)が深刻な地下水汚染を招く恐れがあることから、厳重な漏水対策を実施し、廃棄物を埋め立てることが義務付けられています。これまでは、埋め立て地の底部から順に下層保護マット、遮水シート、中間保護マット、遮水シート、上層保護マットを敷設し、5層構造で二重に遮水する方法が一般的でしたが、近年は遮水シートの破損箇所を電気的に特定するため、中間保護マットに代わる導電性マットと、汚水の流出を防止する自己修復マットを敷設する事例が増えています。

上部の遮水シートが万一破損した場合、導電性マットが漏水から破損箇所を電気で検知し、その下の自己修復マットにより漏水を防ぎます。自己修復マットは水分に触れると膨張する特性から小さな穴や隙間をふさぐため、上下の遮水シートの間に敷設し三重で遮水する仕組みとなっています。しかし、この遮水方法は、一般的な方法に比べ敷設するマットが1枚多くなるため、コストや作業時間の長さが課題となっていました。

遮水構造の違い

今回、大林組が開発した導電性自己修復マットは、導電性と自己修復性という2つの機能を併せ持っています。従来の自己修復マットには導電性がありませんでしたが、導電性自己修復マットは、上面の不織布に電気を流せるカーボン繊維を混合することで、導電性マットと自己修復マットを一体化しました。1枚で両方の機能を兼ねることから、コストの低減と作業時間の短縮が可能になります。

導電性自己修復マットの構造

大林組は導電性自己修復マットを山梨県市町村総合事務組合立一般廃棄物最終処分場建設工事(発注者:公益財団法人山梨県環境整備事業団、施工場所:山梨県笛吹市)に適用しており、その効果は確認済みです。

   

導電性自己修復マットの主な特長は以下のとおりです。    

低コストを実現

自己修復マットは、水分に触れると膨張する粒状ベントナイト(※1)を、上面の不織布と下面の織布で挟んで縫い合わせたものです。これらの素材は電気を通さないため、導電性はありません。一方、導電性自己修復マットは、構造は同じですが上面の不織布に電気を通すカーボン繊維を混合したことから、これまで必要であった導電性マットが不要になります。導電性自己修復マットの材料費は自己修復マットに比べ若干増加しますが、導電性マットが不要となることに加え敷設作業にかかる人員と作業時間を低減できることから、材料を含めた工事費を従来に比べ20~25%削減できます。

作業時間を短縮

敷設するマットは、直径10cm程度の鉄管やポリエチレン管に巻き付けられたロールの状態で建設現場に搬入されます。建設現場ではこれらをクレーンなどで吊り上げ、マットを引き出しながら敷設作業(写真)を進めていきますが、導電性自己修復マットを採用することで施工面積10,000m²の作業時間で比較すると、導電性マットと自己修復マット両方を敷設する場合に比べ約15%短くなります。

大林組は導電性自己修復マットを多くの廃棄物最終処分場に提案し、さらなるコスト低減、工期短縮を図るとともに、廃棄物処分事業の安全・安心に貢献していきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。