1月4日、大林組本社(東京都港区)において、2017年環境表彰を実施しました。大林組は、2010年2月に中長期環境ビジョン「Obayashi Green Vision 2050」を策定し、事業活動を通じて地球環境の課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現をめざしています。
環境表彰では、大林組グループ全体を対象に、環境分野に関する社員の意識を高め、事業活動における環境への取り組みを強化するため、環境に関する顕著な功績があった活動、または他の模範となる活動を推奨しています。2017年は、推薦のあった多くの活動事例の中から、先進的な試みを行った4件が選ばれました。
神奈川県立保健福祉大学の環境配慮プロジェクト
10年以上にわたり官民一体で省エネ活動を継続
神奈川県立保健福祉大学は、2003年、国内初の大型PFI事業として建設されました。維持管理を行う大林組グループは、モニタリングを行う神奈川県と協働で、長期にわたって省エネルギー、環境保全に取り組んでいます。
完成以来、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)のデータを分析し、照明、空調、衛生などの各設備に省エネルギー手法を取り入れ、運営を行ってきました。高い省エネ性を実現しながらも、施設利用者からの声を反映させるなど、建物としての快適性を損なわないよう配慮しています。
官民一体となり、省エネルギーへの取り組みを10年以上継続させた社会的意義のある先行モデルとして高く評価され、平成28年空気調和・衛生工学会特別賞十年賞をはじめとする多数の賞を受賞しています。
「一般国道357号東京港トンネル」プロジェクト
環境負荷の少ないシールドトンネル区間を増やし建設発生土を削減
一般国道357号東京港トンネルは、慢性的に渋滞が発生する首都高速湾岸線東京港トンネルと並行して整備を進めているトンネルで、大林組は都心部から千葉方面に向かう延長1.9kmの区間を構築しています。
工事では、地上部の掘削を伴う開削工法の施工距離を減らし、環境負荷の少ないシールド工法の施工を増やすことで建設発生土を約1万1,000m³削減。さらに産業副産物を再利用したクリーンクリートや高炉セメントを使用し、CO2排出量も約2,000t削減しています。
多様な技術を活用して環境負荷を低減させた取り組みが認められ、平成28年3R推進功労者等表彰 国土交通大臣賞を受賞しています。
被災地での環境に配慮した大規模土工プロジェクト
ICTを活用し残土運搬で発生するCO2排出量の削減に貢献
東日本大震災の津波によって被害を受けた宮城県気仙沼市の水産加工団地を再建するため、20haの造成工事および基盤整備工事を行いました。
残土処理約70万m³の運搬に必要なダンプトラックが不足する中、トラックでの運搬土量の管理、GPSスマートフォンを使った運行ルート管理による、効率的な残土運搬を実施しました。盛土管理にはGPS転圧管理システムを導入し、転圧回数を計測することで、正確かつ無駄のない施工を行いました。
コンクリートがらなどを擁壁の裏込め材などに再使用することで、10tダンプトラック約3,000台分の場外運搬を不要とし、CO2排出量の削減にも大きく貢献しました。大規模土工事でのICT活用はさらなる環境負荷の低減効果が見込まれています。
大阪・淡路町3丁目プロジェクト
現場でのコンクリート打設をなくし型枠廃材発生を抑制
大阪市中央区での超高層マンション建設工事に当たり、建物・敷地の特性を活かし3R(リデュース:発生抑制、リユース:再使用、リサイクル:再資源化)活動を実施したものです。
躯体工事においては、柱、梁接合部分もプレキャスト化したLRV工法を関西圏で初めて採用し、接合部のコンクリート打設に伴う作業を省略。型枠廃材発生を抑制しました。
建設地には、過去に大林組が建設したオフィスビルの地下躯体が残存していたことから、既存山留め壁として最大限に活用。新設する範囲を最小限としました。これにより汚泥の発生量を約1,000m³を削減しました。
また、大型の産廃コンテナが設置できない狭小な敷地において、小型の分別カートを移動させながら配置し、分別を徹底しました。これらの取り組みが高く評価され、平成28年3R推進功労者等表彰 国土交通大臣賞を受賞しています。
大林組グループは、今後も環境分野への意識をさらに高め、事業活動における取り組みを一層強化してまいります。