今から1400余年前の飛鳥時代、この世のすべての人々を救済すると誓願した聖徳太子により、四天王(仏教で東西南北を守る神)像を祀(まつ)る大規模な寺院が建立されました。それが、日本最初の大寺院として今も市民に親しまれる、四天王寺(大阪市天王寺区)です。
四天王寺はたび重なる戦火や災害に見舞われながら、その都度再建されてきました。現在の五重塔は1959(昭和34)年、大林組が鉄筋コンクリート造の耐震耐火構造によって、木造の形に再現したものです。
大林組は、2015年9月から四天王寺の耐震改修工事を行っています。この工事は、聖徳太子の没後1400年(2022年)に向けた整備事業の一つで、中門、五重塔、金堂、講堂などの中心伽藍(がらん)(※1)を約3年かけて順次改修していきます。
現在、五重塔の改修工事が佳境を迎えています。昨年12月には、塔の頂上に立つ銅製の装飾物相輪(そうりん)を地上に下ろしました。この相輪は、全長38mの五重塔の約3分の1を占める大きさ(約12m)があることから、取り外す際は塔の上で分解し、一つずつクレーンで運搬しました。一般公開、専門家による補修・塗装を経て、2016年4月1日、再び塔の上に相輪を取り付けました。
五重塔の相輪は、上部から宝珠(ほうじゅ)、竜舎(りゅうしゃ)、水煙(すいえん)、九輪(くりん)で構成されています。今回の改修では、輪が縦に連なる九輪の周りに、かつて付けられていた風鐸(ふうたく)(※2)を復活させ、約半世紀前の姿を再現しました。
今後、五重塔では屋根瓦を外して洗浄し、ふき直すほか、柱を加えるなどして耐震性を高める工事を行います。回廊を含む中心伽藍すべての工事は、2018年3月に終了する予定です。