ロングライフビル推進協会が主催する第25回BELCA賞において、大林組が1930(昭和5)年に施工した三井住友銀行大阪本店ビル(大阪市中央区)と1932(昭和7)年、1933(昭和8)年に施工した神戸大学 六甲台本館・社会科学系図書館(兵庫県神戸市)が、ロングライフ部門で表彰されました。
BELCA賞は、適切な維持保全や優れた改修を行った建築物を表彰するものです。ロングライフ部門は、建設後30年以上を経過している建築物が対象で、長寿命化を考慮して設計され、継続的に維持保全が行われている建築物が毎年表彰されています。
三井住友銀行大阪本店ビル
大阪・中之島の景観地区において特別な存在感を放つ三井住友銀行大阪本店ビルは、完成から間もなく90年を迎えます。今後も継続的に使用していくため長期保存計画を策定し、2015年、抜本的な改修を行いました。
内部は、間仕切りの少ないフレキシブルなオフィススペースを実現し、耐震ブレースによって耐震性能の向上を図りました。
環境配慮としては、外部の鋼製サッシの意匠を変えずに高断熱高気密アルミ製サッシへと交換し、空調負荷を削減しました。照明制御やLED化などにより省エネルギー化を図ることで、建物のエネルギー使用量の削減を実現しています。
今回の受賞では、遺(のこ)す部分と近代的に進化させる部分の仕分けが周到に計画され、価値あるロングライフ化が実現されたことが高く評価されました。
神戸大学 六甲台本館・社会科学系図書館
神戸港をかなたに見下ろす六甲台本館と社会科学系図書館は、竣工から80年以上経った現在もキャンパスの核となる象徴的な存在になっています。
大学は、毎年キャンパス内の全建物を点検しています。建物の修繕は、竣工当時の状態をとどめることを前提に、随時行われています。
2014年には、神戸大学 足立名誉教授の監修のもと、大規模な修繕が行われました。外壁のスクラッチタイルは、形状や色味を可能な限り精密に再現しました。配線・配管などの室内設備はできるだけ集約し、復元された内装意匠を損なわないようパネルで覆うなどして、建物の価値を高めています。
今回の受賞では、周辺建物のデザイン指針を管理し、キャンパス内の全建物の修繕状況を評価するなど、所有者が高い見識に基づき施設維持と環境整備に努めていることで、2つの建物の象徴性と価値が継続されている点が高く評価されました。
大林組はこれからも、適切なメンテナンス、リニューアルを実施し、優れた建築物がより長く次世代に受け継がれていくよう努めてまいります。