7月19日、東京海洋大学越中島キャンパス(東京都江東区)で、大林組が修復工事を行った重要文化財「明治丸」の竣工式が執り行われました。
式典には東京海洋大学の竹内俊郎学長をはじめ、山崎孝明江東区長、大林組副社長の杉山直など約150人の関係者が参列し、工事の無事完成を祝いました。
明治丸は1874(明治7)年、日本政府の発注によって英国で建造されたわが国最古の鉄船です。灯台巡視船としての本来の役割だけでなく日本近代史に残る多くの事柄に関わってきました。
1875(明治8)年、小笠原諸島の調査船として、英国軍艦より早く父島に到着し調査したことから領有の基礎固めに貢献しました。翌年7月20日には、明治天皇が明治丸で、東北・北海道の巡幸から横浜港に帰港したことにちなんで「海の日」が制定されるなど、重要な役割を果たしてきました。
今回の工事は、1988(昭和63)年の保存修理工事後、経年劣化が激しく大規模補修が必要になったことから行われました。マスト(帆柱)は、木製から鋼製にすることで堅ろう性を高め、上甲板(かんぱん)は、樹脂製からチーク材に変更することで創建時の美観を復元しました。また、木造デッキハウスの防水対策を新たに提案するなど、大林組はさまざまな工夫を重ねて完成させました。明治丸は今秋にも一般公開される予定です。
大林組はこれからも、歴史的構造物の修復やノウハウを重ねることで、貴重な財産を後世に伝えてまいります。