7月21日、第一ホテル東京(東京都港区)で、第35回エンジニアリング功労者賞などの表彰式が行われ、大林組の「超高層建物の高制振構造システム(デュアル・フレーム・システム)」と雷警報システム「カミナリウォッチャー」の開発チームが、エンジニアリング功労者賞を受賞しました。
エンジニアリング功労者賞は、エンジニアリング産業の振興発展に貢献し、その功績が特に顕著であると認められたグループを「国際貢献」「エンジニアリング振興」「環境貢献」「中小規模プロジェクト枠」の4部門にわたって表彰するものです。受賞者は、多数の企業・団体に推薦された案件の中から、東京大学名誉教授の小島圭二氏を委員長とする選考委員会の厳正なる審議を経て決定されます。今年は12グループが選ばれました。
エンジニアリング振興部門
超高層建物の高制振構造システム開発チーム
デュアル・フレーム・システムは、建物を揺れ方(固有周期)の異なる、独立した2つの構造体で構成し、両者を制振装置(オイルダンパー)でつないで建物全体の揺れのエネルギーを効果的に吸収する、超高層建物の制振システムです。
少ない制振装置で優れた耐震・耐風効果が得られるだけでなく、建物にかかる力が小さくなることから梁や柱の形状を小さくすることができ、居住空間において自由な平面プランニングが可能となります。シティタワー大阪天満、川崎港町タワーマンション Riverie(リヴァリエ)など、国内10件の高層住宅に適用しています。
今回の受賞では、2つの構造体を組み合わせたことによって、さまざまな地震動や風に対応する制振効果を発揮し、揺れを低減できる点、また、高層住宅にフレキシブルな居住空間とワイドスパンな眺望が実現した点などが高く評価されました。
中小規模プロジェクト枠部門
カミナリウォッチャー開発チーム
カミナリウォッチャーは、遠方の落雷を監視する落雷センサーと上空の雷雲を検知する雷雲センサー、気象庁の降雨・風データを組み合わせることにより、精度の高い雷の事前情報が得られる雷警報システムです。
低コストで設置が容易でありながら、遠方より接近する雷はもちろん、上空から突然落ちるような雷にも対応します。
メールでの通知も可能で、作業員に迅速に危険を知らせることができることから、建築・土木の作業現場だけでなく、スポーツ施設や風力発電施設などにも設置され、安全性の向上に大きく貢献している点などが評価されました。
大林組はこれからも、人々が安全で豊かに暮らせる持続可能な街の形成に向け、付加価値のあるものづくりとそれを支える技術の開発に努めてまいります。