大林組は、真宗大谷派の本山、東本願寺(京都市下京区)境内で、阿弥陀(あみだ)堂の修復作業に使用していた素屋根(すやね)を解体しています。
東本願寺は、1602(慶長7)年、徳川家康から京都六条に敷地の寄進を受けて建立されました。阿弥陀堂は、御本尊・阿弥陀如来像を安置する本堂です。
1895(明治28)年、15年の歳月をかけて建立された阿弥陀堂は、宗祖・親鸞聖人七百五十回御遠忌法要の特別記念事業の一つとして、2012年から修復工事が進められています。
素屋根は、修復作業で露出する屋根面などの木部を風雨から守る仮設構造物で、全天候下で作業ができ、瓦、木材などを加工・保管する場所でもあります。
もともと阿弥陀堂の素屋根は、隣接する御影(ごえい)堂(※1)修復のために、2004年、大林組がスライド工法(※2)で建設したものです。ブロックごとに組み立てては送るスライド工法は、文化財上空での鉄骨工事を避けられることに加え、組み立て用の敷地に余裕がないことから採用しました。
2つの建物の修復で使用した素屋根はその役目を終え、現在、撤去のため、構造物の下にローラーとレールを敷き、けん引ジャッキでスライドし解体しています。
今回のスライド工法による解体では、1回で移動させる距離を1ブロック分の約7mとし、南端となるブロックの屋根と壁から解体していきます。10日後に再びスライドして解体。そのサイクルを9回繰り返します。
阿弥陀堂のすべての素屋根が解体されるのは2015年9月、来年には内部の一般公開が再開される予定です。
大林組は、これからも伝統技術の保持と先端技術の開発に努め、日本が誇る文化・資産である歴史的建物を次の世代へ伝えてまいります。