大林組は、山岳トンネルの壁面を覆うコンクリートの高品質化と掘削の高速化を両立する「連続ベルコン通過型テレスコピック式セントル」を開発し、新名神高速道路 野登(ののぼり)トンネル西工事(三重県亀山市)の現場に、国内で初めて適用しました。
野登トンネルでは、地域住民を対象とした現場見学会(NEXCO中日本主催)を定期的に行い、工事の進捗を紹介しています。4月18日、トンネル建設現場に亀山市の住民140人を招待し、最新の山岳トンネル技術を公開しました。
通常、トンネルの壁面は坑内に設置した一つの型枠(セントル)の外側にコンクリートを流し込んで構築しますが、野登トンネル西工事では、2つの型枠を交互に使用しています。
型枠は小さく畳むことで一方の内側をくぐり抜けられるよう開発されており、一方の型枠でコンクリートが十分に固まるまで養生している間に次の打設作業ができます。このため、2日に1回の打設サイクルを変えることなく、養生期間を60時間以上確保することができ、強度の高いコンクリートを構築できます。
また、掘削工事で発生した土砂はダンプトラックではなく機械的に連続ベルコンで運搬されるため、作業員の省人化が図れます。トラックの往来による路盤の損傷や接触災害リスク、排気ガスなども減少します。
坑内に入った参加者は、下り線の切羽面や上り線のコンクリート打設施工部分を見学し、大林組職員から施工手順、最新工法についての説明を受けました。
参加者からは「想像していたより坑内がきれい。マスクは必要ないのでは」などの感想が寄せられました。 坑外では、連続ベルコンで坑内から運ばれてきた土砂や岩石がどんどん積み重なっていく様子を見学。土砂の量と重機の迫力に圧倒されていました。
インフラ整備においては、耐久性のある良質なストックの生成が求められています。大林組はこれからも、品質の高いものづくりをめざして日々技術開発を進めるとともに、地域の皆様に工事の進捗や適用技術を積極的に公開していきます。