清瀬の自然保護団体がキンラン咲く技術研究所雑木林で観察会

里地里山を守り、人と自然が共存する未来のために

サステナビリティ

清瀬・技術研究所雑木林に咲くキンラン

1990年代頃から数が減少したキンランは、1997年、環境省から絶滅危惧種に認定されました

5月8日、大林組技術研究所(東京都清瀬市)で「清瀬の自然を守る会」などの37人を招いて、自然観察会を行いました。この観察会は2009年から、キンランの開花の時期に合わせて毎年実施しています。

野生のキンラン(※1)が生育する雑木林は、原生的な自然と都市との中間に位置し、里地里山(※2)を構成する大事な要素とされています。里地里山は、日本列島の生き物や自然を豊かにする役割を担っており、里地里山の生態系の存続は、生物多様性を保全するうえで重要な課題であるといわれています(環境省「里地里山保全活用行動計画」2010年から)。

大林組は1998年から、技術研究所内の雑木林に咲くキンランの個体数や生育環境のモニタリング調査を実施し、地域の多様な生き物や貴重種の保全活動に活かしています。高木を残し、下草を刈り、倒木を除去するなどの順応的管理を丁寧に続けることで、キンランの数は調査開始から2倍以上に増加しました。

観察会では、大林組の研究員がガイド役を務め、雑木林の植物の生育状況を説明しました。参加者は熱心に話に聞き入り、「キンランやギンランの成長過程や植生がよく分かった」「貴重な植物を企業が率先して保護していることに感銘を受けた」「サイハイランも見ることができて感動した」といった感想が寄せられました。

大林組は、これからも継続的に自然観測を行い、多様な生態系の保全、里地里山の保護などを通して、豊かな暮らしを未来へと引き継げるよう努めてまいります。

雑木林では東京都レッドリストに記載されているウラナミアカシジミ(シジミチョウ科)、アカゲラ(キツツキ科)も見られます

雑木林では東京都レッドリストに記載されているウラナミアカシジミ(シジミチョウ科)、アカゲラ(キツツキ科)も見られます

ラン科の貴重種、武将が使う「采配」に似た花をつけるサイハイランやキンランよりも小ぶりで白い花を咲かせるギンランなども生育しています

ラン科の貴重種、武将が使う「采配」に似た花をつけるサイハイランやキンランよりも小ぶりで白い花を咲かせるギンランなども生育しています

※1 キンラン
ラン科キンラン属の多年草で、地生ランの一種。名前は黄金色の花をつけることに由来します。技術研究所の雑木林において、キンランの個体数は232個(1998年)から483個(2014年)に増加しています

※2 里地里山
人の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきた里地里山は、特有の生物の生息・生育環境として、また、良好な景観、自然資源の供給、文化の伝承などの観点からも重要な地域といわれています