大林組2015年環境表彰を実施しました

持続可能な社会の実現に向けた、多岐にわたる活動5件を表彰

サステナビリティ

1月5日、大林組本社(東京都港区)において、2015年環境表彰を実施しました。大林組は、2010年2月に中長期環境ビジョン「Obayashi Green Vision 2050」を策定し、事業活動を通じて地球環境の課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現をめざしています。

環境表彰は、大林組グループ全体を対象に、環境分野に関する社員の意識を高め、事業活動における環境への取り組みを強化するため、その顕著な功績があった活動や他の模範となる活動を表彰するものです。

6回目を迎えた今年は、多くの事例の中から「本社部門が主導的に取り組んだ活動」3件と、「本支店、各グループ会社が主導的に取り組んだ活動」2件の計5件が選ばれました。

【本社部門が主導的に取り組んだ活動】

ブラストサイレンサー開発・普及プロジェクト

発破を伴うトンネル工事においては、周辺環境への負荷となる騒音低減対策が求められます。

道路トンネルでのブラストサイレンサー設置状況

道路トンネルでのブラストサイレンサー設置状況

ブラストサイレンサーは、防音扉などでは対策が難しい低周波音を、それ自体の反射音で相殺することにより、防音扉の3倍以上の低減を可能にした技術です。

また、低周波音以外の騒音にも有効な普通騒音消音機を組み合わせることにより、全音域で防音扉と同等以上の低減効果を得ることができ、工事終了後は転用も可能です。

2014年には土木学会賞 技術開発賞を受賞し、適用現場を増やしています。

木材チップを活用した塩害農地再生プロジェクト

東日本大震災により被災した塩害農地対策として、大林組は木材チップ塩成土壌改良工法を開発しました。

木材チップ塩成土壌改良工法は、トラクターなどの一般的な農業機械で木材チップと土壌改良材を混合し、雨水と自然排水だけで除塩するものです。大量の農業用水や特殊な設備が不要なことから、かんがい施設の復旧を待たずに早期着手することができます。また木材チップの材料には被災地で発生した廃木材を利用し、津波堆積土も土壌材料にできるため、震災廃棄物の削減にもつながります。

産学官連携による被災地での実証実験では、除塩事業で採用される他の工法と同様の効果があることが確認されました。この成果は、被災県の復興関連の事業計画に活用されるとともに、学会、新聞・雑誌などのメディア、地元の方々からも、農地再生に役立つ技術として高く評価されています。

塩害で枯れた海岸林のチップ化

塩害で枯れた海岸林の木材をチップ化

農業機械による土壌改良

農業機械による塩害農地の土壌改良

オフィスビル運用時の環境負荷低減プロジェクト(キヤノン S タワー

オフィスビル「キヤノン S タワー」運用時の環境負荷低減プロジェクト

ショールームなどを併設する29階建てのオフィス キヤノン S タワー(2003年竣工)

大林組が設計施工を行った環境性能の高いオフィスビルで、竣工後10年にわたり継続的に維持管理・運用改善を行った事例です。

大林組はビル管理者の大林ファシリティーズを支援し、利用者であるお客様と一体となって、省エネ・省資源を踏まえた運用の最適化を図ってきました。

2011年には同規模の標準建物に対して、CO2排出量原単位を62%削減、2012年には竣工時に比べ、一次エネルギー使用量を44%、上水使用量を39%削減しました。

この優れた環境効果から、第14回空気調和・衛生工学会 特別賞「十年賞」を受賞しました。近年、環境性能に関して設計値のみならず運用時の実績が注目される中で、重要な活動実績となっています。

【本支店、各グループ会社が主導的に取り組んだ活動】

高い環境性能の先進的物流施設建設プロジェクト(GLP三郷Ⅲ)

このプロジェクトは、先進的物流施設の建設に当たり、発注者と協働して設計、施工の各立場から合理的方策を実施したものです。

施工中のリサイクルを徹底するとともに、太陽光発電設備の設置や全館LED採用で省エネに配慮するなどした結果、建物環境性能認証制度であるLEED(※1)のCS(CORE&SHELL)部門において、最高ランクとなる「プラチナ」認証を取得。物流施設としては日本で初めての取得となりました。環境性能の高い設計によって多くのLEEDポイントを得ており、特に環境配慮施工関連ではすべての評価項目でポイントを獲得しています。

大型物流施設 GLP三郷Ⅲ

大型物流施設 GLP三郷Ⅲ(2013年竣工)

全館にLED照明採用

全館にLED照明採用

※1 LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)
米国グリーンビルディング協会が開発・推進を図る、世界的にも広く普及している建物環境性能認証制度。建築物はLEED基準により4段階のレベルに格付けされる

台北地下鉄工事での環境保護プロジェクト

このプロジェクトでは、建設計画当初から環境保護の方針を強く打ち出していた台北市と共に、環境保護に対する日本と同レベルの現場管理基準を順守しながら施工に当たりました。

低騒音・低振動の工法を実施するほか、作業員の「5S運動(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)」への参加促進、積極的な「美化・緑化運動」による周辺住民の工事への理解促進、絶滅危惧種「台北樹蛙(タイペイスーワー)」の生態系保護などを実施しました。大林組の取り組みは高く評価され、台北市を含む外部団体から数多くの表彰を受けました。

台北地下鉄 トンネル内部

台北地下鉄トンネル内部

絶滅危惧種「台北樹蛙」の保護活動

絶滅危惧種「台北樹蛙」の保護活動

大林組グループは、今後も環境分野に対する意識をさらに高め、事業活動における取り組みを一層強化してまいります。