土木学会は2014年11月に創立100周年を迎えました。創立100周年宣言では「未来への想像力を高め、社会の礎を築く大切さを伝えること」が土木技術者の役割であると掲げており、学術・技術の発展、多様な人材の育成、社会の制度設計に継続的に取り組んでいます。
記念事業の一つとして、企画力・実行力・総合力のすべてを兼ね備えた「土木の力」を、社会に発信することを目的にした「未来のT&Iコンテスト」が実施されました。
このコンテストは、土木を専門とする社会人チームが参加する「テクノロジー(T)部門」と、一般個人や子どもが住みたい未来へのアイデア考える「アイデア(I)部門」の2部門で構成されます。大林組関連チームはT部門47件、I部門209件の応募の中から、独創性や将来性などに優れたものとして両部門で選ばれました。
テクノロジー(T:Technology)部門
T部門は、多岐にわたる専門家がチームを組んで、未来の社会についてのアイデアと、それを実現するための技術を提案するものです。大林組は優秀賞と地域賞を受賞しました。
優秀賞:50年後の都市環境問題を解決する「ウェザーパラソル」
「ウェザーパラソル」は、お年寄りが無理なく歩ける直径1kmのコンパクトシティの上空に開いた、直径1kmの巨大な透明の傘のような装置です。
注入したヘリウムガスなどで浮力を持たせたパラソルは、基地局から太陽の位置を感知し、位置制御しながら街を紫外線や集中豪雨、大気汚染などから守り、安全・快適に生活できる都市を創出します。ソーラー発電による電力供給も可能となります。
地域賞:「スカイサイクル・エコハイウェイ」
地域の特性やニーズを反映した作品に贈られる地域賞。大都市において通勤手段に自転車を選択できるよう、高速走行が可能な自転車専用道路を提案しました。
アイデア(I:Idea)部門
I部門は、小中学生を中心に広く一般から募集したアイデア「自分たちが住みたい未来の社会」から優秀賞5作品を選出し、受賞者の夢を実現すべく土木技術者たちが技術的検討を行ったものです。大林組と他社の技術者がチームとなり、優秀賞の1作品をサポートしました。
優秀賞:チーム髙橋「ちゅららハウス」
優秀賞に選ばれたのは、京都市在住の小学生、髙橋和瑚さんのアイデア。沖縄のちゅら(美しい)の海につららのような形をした街を浮かべる「ちゅららハウス」です。
技術者チームは、転覆しない安定した重量構成や波浪の影響を受けにくい形状を検証。付帯設備など追加仕様の検討、安全・安心のための提案などを行い、人口5,000人が暮らす「ちゅららタウン」を協働で提案しました。
大林組はこれからも、未来の社会の安全と発展のため、総合的な見地から諸問題の解決に挑むとともに、将来の持続可能な社会の実現に向け、想像力を一層高めてまいります。