大林組ほかが建設工事を行う安威川ダム(大阪府茨木市)本体工事の着工に伴い 、11月2日、安全祈願祭・起工式が執り行われました。
安威川流域は、淀川や北摂山地の流出土砂によって形成されています。地形的に水に弱いことから、堤防を築くなどの対策がとられていましたが、1967(昭和42)年7月に発生した北摂豪雨では、浸水家屋約2万5,000戸、田畑への冠水約1,500haなどの甚大な被害が出ました。
安威川ダムはこの北摂豪雨を契機に、安威川流域の抜本的な治水対策として、大阪府により立案されました。度重なる計画変更を経て、構想から約50年を要しての着工となりました。
最終的な計画には、豊かな自然に囲まれた安威川ダム周辺の動植物を積極的に守る取り組みも盛り込まれています。川の生き物は、洪水によってかく乱されることで多様性が保たれることから、自然の川に近い状態をつくり出すため、定期的に小規模な洪水を起こすフラッシュ放流などの仕組みも、日本で初めて計画されています。
安全祈願祭に続いて行われた起工式では、松井一郎大阪府知事が「北摂豪雨で受けたような被害を繰り返さないためにも、治水対策となるダム工事に全力で取り組みたい」と決意を新たにしました。
大林組 副社長の金井誠は、施工者を代表して「企業体の持てる技術の総力を結集して、安全に留意し、無事故無災害での竣工をめざす。また、地元との交流を通して親しまれるダム造りにも取り組んでいく」と安全宣言を行いました。
安威川ダムは、2020(平成32)年の東京五輪・パラリンピック開催年の完成をめざし、建設を進めていきます。