斜め土留め工法が第16回国土技術開発賞 優秀賞を受賞

掘削工事の急速施工、地下構造物の品質向上で社会に貢献します

サステナビリティ

7月30日、東京・丸の内の東京国際フォーラムにおいて、第16回国土技術開発賞(国土技術研究センター、沿岸技術研究センター共催)の表彰式が行われ、大林組が開発した斜め土留め工法(深い開削工事に適用可能な自立式土留め工法)が優秀賞を受賞しました。

太田昭宏国土交通大臣(右)から表彰状を授与される大林組技術担当開発者(中央)と副社長 金井誠(左)

太田昭宏国土交通大臣(右)から表彰状を授与された大林組副社長 金井誠(左)と技術開発者(中央)

斜め土留め工法を適用した成田空港内道路トンネル工事

斜め土留め工法を適用した成田国際空港 第2木の根トンネル設置工事(その2)

国土技術開発賞は、安全に安心して暮らせる国土などの形成をめざして、住宅や社会資本の整備を支えている建設産業の優れた新技術と、その開発に貢献した技術開発者を表彰するものです。

今回受賞した斜め土留め工法は、従来鉛直の土留め壁を自立できる角度まで傾斜させることにより支保工を不要にする、新しい発想の自立式の土留め構造です。

支保工が不要となることで、支保工による躯体貫通部がなくなり、構造物の品質が向上します。また、支保工のないオープンな施工空間が施工性、安全性を向上させ、工期短縮、コスト縮減を実現します。資材運搬量、機械稼働も削減でき、環境負荷の低減にも貢献します。

現在までに東関東自動車道 谷津船橋インターチェンジ工事や成田国際空港 第2木の根トンネル設置工事(その2)など、国内5つの工事に適用されています。

大林組はこれからも、新たな視点で既存技術を見直し、高品質でスピーディなインフラ整備を可能にする新技術の開発に努めてまいります。

斜め土留め工法の概要

地下を掘削する際には、土が内側に倒れようとする圧力(土圧)が働きます。そのため、開削工事では土圧に抵抗するための鉛直な土留め壁や支保工(切梁、中間杭、グラウンドアンカーなど)が必要となります。

壁を自立できる角度(3~10度、現地条件によって異なる)まで傾斜させる斜め土留め工法では、支保工が不要となるため、掘削内部がオープンな空間となり、構築する躯体の品質(特に止水性)が向上し、掘削工事の工程短縮、コスト縮減なども可能となります。

【従来工法との比較】

鉛直土留め(従来工法)

鉛直土留め(従来工法)
切梁などの支保工は土留め壁の安定確保のために用いています

斜め土留め工法

斜め土留め工法
支保工の省略により、工期は従来工法に比べ約30%短縮、コストは約20%縮減されます