1月6日、大林組本社(東京都港区)において、2014年環境表彰を実施しました。大林組は、2010年2月に中長期環境ビジョン「Obayashi Green Vision 2050」を策定し、事業活動を通じて地球環境の課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現をめざしています。
環境表彰は、大林組グループ全体を対象に、環境分野に関する社員の意識を高め、事業活動における取り組みを強化することを目的とし、環境に関する顕著な功績があった活動や他の模範となる活動を表彰しています。今年で5回目を迎えます。
今回から、「本社部門が主導的に取り組んだ活動」と「本支店、各グループ会社が主導的に取り組んだ活動」の2つの分野を設け、それぞれの分野ごとの表彰をスタートさせました。
推薦を受けた21件の活動事例の中から、本社部門の活動として「クリーンクリート開発普及プロジェクト」、「環境放射能測定技術の展開プロジェクト」の2件、本支店、各グループ会社の活動として「超迅速堆肥化による被災木材活用プロジェクト」、「バイオ燃料の活用・廃食用油回収プロジェクト」の2件、計4件が選ばれました。
クリーンクリート開発普及プロジェクト
2010年、建設工事における主要材料の一つであるコンクリートの低炭素化に着目し、結合材に対するセメントの70%以上を産業副産物に置き換えた低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」を開発しました。
クリーンクリートは、一般的なコンクリートと比べて、CO2排出量を60~80%削減でき、同時に産業副産物を有効利用することで、循環型社会の形成にも貢献します。
Obayashi Green Vision 2050では、2020年の目標としてクリーンクリートの使用率20%を掲げており、今後も適用の拡大を図っていきます。
【クリーンクリート適用事例】
環境放射能測定技術の展開プロジェクト
環境放射能測定技術は、除染効果を評価するために欠かせません。
このプロジェクトは、正確かつ迅速に、低コストな測定技術を開発するため、「オリオン・スキャンプロット」(米国AMEC E&I社)の有効性に着目し、それをベースにシステム運搬機器、即時的な確認システムなどの実用性を開発・付与した測定技術へと進化させ展開したものです。
実証実験結果の正確さなどから、効果的な技術であることが日本原子力研究開発機構(JAEA)に認められ、JAEAの「除染技術情報ナビ」に公表されました。
超迅速堆肥化による被災木材活用プロジェクト
このプロジェクトは、2011年の台風12号で水害に見舞われた紀伊半島において、植林地の大規模な斜面崩壊に伴い発生した倒木・伐採材を、のり面緑化保護に活用したものです。
従来工法では、伐採材をチップ化し、発酵させるのに半年以上が必要でした。今回、圧力で木材を繊維状に分解して処理する「超迅速堆肥化技術」を採用したことによって、堆肥化に要する期間を大幅に短縮し約1ヵ月でできるようになりました。
これにより、緊急対策における短い工期の中で、高品質な緑化資材を製造でき、また被災木材のリサイクルが可能になりました。今後も緊急度が高い対策工事などで展開が期待されます。
バイオ燃料の活用・廃食用油回収プロジェクト
CO2排出量削減のため、現場内での化石燃料の使用を抑えることが効果的と考え、大林組名古屋支店と協力会社とでチーム「プロジェクト"B"」を立ち上げ、重機などにバイオディーゼル燃料(BDF)を使用する取り組みを開始しました。
BDFは植物から作られた天ぷら油などを原料としています。植物は大気中のCO2を吸収して成長し、CO2を蓄積しているため、BDFを燃料として使用しCO2を発生させても、CO2排出量がゼロカウントとなります。排ガスについても黒煙と硫黄酸化物の発生を抑えられます。
また、BDFの原料となる使用済み天ぷら油の回収協力も重要として、支店・工事事務所・協力会社などに広く呼びかけて回収し、BDF製造メーカーへ売却しました。捨てればごみとなる使用済み油を燃料に再生することは、水質汚染の防止にも寄与します。売上金を国際環境NGOに寄付することで、地球環境保全の一助としました。
大林組グループは、今後も環境分野に対する意識をさらに高め、事業活動における取り組みを一層強化してまいります。