大林組は、旭化成ジオテック(東京都中央区)と共同で、放射性物質を含む焼却灰などの廃棄物(指定廃棄物(※1))を埋め立て処分する際に、雨水の浸入を防ぐ隔離層を簡易に構築できる技術「ベントスロープF工法」を開発しました。
1月31日、大林組技術研究所(東京都清瀬市)で、ベントスロープF工法の実証試験の様子を公開し、施工性とともに環境省が定めた遮水性能を満たす新技術であることを発表しました。
放射性セシウム濃度が1kg当たり8,000~10万Bq(ベクレル)の焼却灰などを、一般的な廃棄物処分場に埋め立て処分する場合には、廃棄物をセメント固化して積み上げて、雨水の浸入を防止するために固化物を隔離層で覆うことを環境省から示されています。
これまでの隔離層は、積み上げた廃棄物の周りにベントナイトなどを敷き詰めて、重機で締め固め、構築するのが一般的でした。しかし、積み上げて階段状になった廃棄物の側面での構築が難しく、廃棄物が不等沈下を起こすと雨水が浸入しやすい、また雨天時には施工できないなどの課題がありました。
大林組は、課題を解決するため、遮水性はもとより、強度および施工性・安全性など隔離層として求められる機能をすべて備えたベントスロープF工法を開発しました。
ベントスロープF工法の主な特長は以下のとおりです。
- 形状自由度の高い布製型枠と遮水材で隔離層を構築
廃棄物表面に柔軟性のある布製型枠を敷設し、布製型枠内に流動性の高い遮水材を充てんすることで、廃棄物の側面、表面の凹凸に合わせた隔離層を構築できます。また、布製型枠を連結して連続した隔離層とすることができます。
- 変形にも強く高い遮水性能
砂、ベントナイトなどからなる遮水材は安定した隔離層を形成します。高い耐久性を有し、環境省の示す隔離層に必要な遮水性能の基準(透水係数1×10-6cm/s以下かつ層厚30cm以上)を満たしています。固化材を使用しないため、不等沈下による変形にも追随し、長期にわたって遮水性を維持します。
- 低コストで安全性の高い施工法
遮水材は、コンクリートポンプ車で布製型枠内へ圧送充てんするため、重機による大がかりな転圧作業などが不要で、重機作業により積まれた廃棄物が崩れや破損する危険性がありません。さらに、施工中から、降雨による作業への影響を受けません。これらの特長により、既存工法と比較して、コストを20~30%削減できます。
大林組と旭化成ジオテックは、安全性の高い廃棄物処理技術で、安心して暮らせる、持続可能な社会へ貢献してまいります。