大林組が1931(昭和6)年に完成させた在日米国大使館大使公邸は、品格あふれる白い壁が印象的な近代西洋建築で、第二次世界大戦後にマッカーサー連合軍最高司令官と昭和天皇の会見が行われるなど、歴史的な舞台としても知られる建物です。
1995(平成7)年には、老朽化した内装や設備を大林組が改修し、内部の壁や天井に日本古来の金箔貼りや木目描きを施した新鮮なデザインでよみがえりました。美術建築を見事に修復したことで、優良既存建築物へ贈られるBELCA賞(ロングライフ部門)を受賞しています。
4月2日、その米国大使館大使公邸で、公邸内に日本の現代アーティストの作品を展示する展覧会のレセプション「時の流れと絆 -日本の芸術家とアメリカ」が開催されました。日米同盟50周年にあたり、スーザン・H・ルース駐日米国大使夫人が主催したものです。
大使のご家族が暮らす公邸のホールやリビングルーム、書斎などの各所には、ニューヨークで前衛美術の展示や運動を手がけた草間彌生氏や、新興舞台芸術や音楽シーンをリードしたオノヨーコ氏、現在もアメリカで活躍する杉本博司氏や森万里子氏など、アメリカにゆかりのある10名の個性的な作品が展示されました。
作品の選定や演出にあたっては、ルース大使夫人から現代アートの知識が豊富な大林組会長・大林剛郎にお話があり、アドバイスなどのお手伝いさせていただきました。ルース大使夫人が当日のスピーチで「日本の作品を学び、日本文化に敬意を感じることができました」と述べるなど、芸術作品を通じた貴重な文化交流の機会となりました。大林組は、今後も米国大使館の建設など長い歴史のなかで培ってきた信頼関係を大切にしていきたいと考えています。