株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、IoT技術を用いて建物内外の多様な情報や建物利用者一人ひとりの快適さに関する情報をクラウドシステムに集約し、AI技術を活用することで、建物利用者の快適性・利便性を高めつつ、最適な建物管理を実現するビルマネジメントシステムを開発します。
また、本システムではウェルネスの観点から建物利用者に対して情報発信を行い、健康増進活動などを促すとともに、その行動も加味したうえで最適な管理を行います。快適、健康、安全・安心、利便をキーワードとする、建物利用者にとっても、管理者にとっても付加価値の高いサービスを提供するシステムです。東京都内のテナントオフィスビルに本システムを導入し、2017年9月から実証運用を開始します。
最近では建物内外に、温度、照度を計測するセンサーや、カメラなどさまざまな情報機器が設置されています。しかし、それらから得られた情報は、空調、照明、セキュリティーなどそれぞれの閉じられたシステムの中だけで利用されていました。今回大林組は、モノのインターネット化であるIoT技術を駆使し、センサー情報などをクラウド上でオープン化することによって、個別システムにとらわれず相互利用することを可能にします。
また、建物利用者のスマートフォンやパソコンから温熱や光環境などに関する好みを申告してもらうことで、一人ひとりの快適感を把握することができ、AI技術の活用によりこれまで見えていなかった個々の快適性を満足する最適な建物制御へと導くことができます。さらに、建物利用者が長く使うほど自動的にチューニングされ、より最適な環境に近づいていく学習制御を実現します。
これまでも、大林組では、建物利用者の健康増進活動や環境配慮行動に働きかけ、快適、健康、安全・安心を実現する建築計画、運用・管理手法を「ウェルネス建築」と呼び、その実現に向け必要な技術開発に取り組んできました。その流れの一つである本システムは、ウェルネスの観点から建物利用者に情報発信を行います。具体的には室内の温熱環境・自然光利用度の見える化や建物利用者一人ひとりの滞在時間の見える化により、建物利用者へ環境配慮行動や健康増進活動を促すきっかけを与える情報などを提供することです。
さらに、クラウドシステムに多様な情報を集約することによって建物管理者の利便性も向上させます。照明器具や空調機、ポンプ類などの設備機器は、エネルギー消費量や運転効率など複数のデータを多面的に解析することによって、機器の劣化状況や更新時期の予測を可能とし、故障する前にメンテナンスや更新を行う予防保全の精度を向上させることができます。
このように本システムは、各種センサーなどからの情報や建物利用者の快適感など多様な情報をクラウドシステムに蓄積し、AI技術を用いて分析を行うことにより、快適、健康、安全・安心、利便、省エネルギーといった多方面にわたる要求に最適解を導き出す、これまでに類のない次世代システムです。本システムの導入により、エネルギー効率を最適化しつつ、建物利用者の健康増進、知的生産性の向上などウェルネスのメリットを実現でき、建物の資産価値向上につながります。
今回の実証では、照明・空調のエリア制御など大林組が持つさまざまな省エネ技術・ノウハウを多数採用したテナントオフィスビルに本システムを導入し、快適性やウェルネスに関する効果を検証するとともに、これまで個別システムの連携が取れていなかったことによるエネルギーの無駄を、いかに減少させられるかについても確認を行います。
大林組は実証運用を通じて本システムの実用化を進めるとともに、今後は、本システムとBIM(Building Information Modeling)データとの連携や、複数の建物から収集したビッグデータとAI技術を用いたエリアマネジメントシステムを視野に入れて開発を進め、より質の高いサスティナブル建築、ウェルネス建築の実現をめざしていきます。
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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