逆打ち支柱の建入れ精度を自動で正確に計測できるシステム「ストレートキーパー」を開発

カメラ式鉛直器を利用し、長大な支柱も高精度な建入れを実現します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、カメラ式鉛直器を利用して、逆打ち工法(さかうちこうほう)における逆打ち支柱の建入れ精度を自動で正確に計測できるシステム「ストレートキーパー」を開発しました。

カメラ式鉛直器

カメラ式鉛直器

ガイド管設置状況

ガイド管設置状況

ストレートキーパー全体図

ストレートキーパー全体図

大規模再開発など敷地いっぱいに地下空間が広がる超高層建物では、周辺構造物、周辺地盤への影響を考慮し、また、工期短縮効果を目的として逆打ち工法が採用されるケースが多くなっています。

逆打ち工法とは、地上1階を構築した後、1フロア分を掘削して地下1階の梁・床を構築し、そこから最下階へ向かって掘削および梁・床の構築を順次繰り返していく工法で、地上階の工事と並行して地下の工事が進められるため、工期の短縮が可能です。

地下階の梁・床を支える支柱を逆打ち支柱と呼び、あらかじめ地盤面から地中に建入れてその柱を支えに地下階の梁・床を構築します。

大深度化が進む近年の工事では、長大な支柱を地下深くまで建入れるため、逆打ち支柱の建入れ精度の確保がますます重要になってきています。

従来の建入れ精度管理は、主に傾斜計を用いて行っていました。傾斜計は取り外して次の支柱の建入れに転用するため支柱の上方に取り付けることが多く、支柱が長大になると傾斜計から下方までの距離が長くなり、計測誤差が発生することがありました。

建入れ精度が確保できない場合、周囲の躯体の補強や設計プランの変更、場合によっては支柱を引き抜いて建入れ直す必要があり、工程に影響を及ぼす可能性もあります。

今回大林組が開発したストレートキーパーは、逆打ち支柱に沿って設置した仮設のガイド管の上方にカメラ式の鉛直器を設置し、ガイド管最下部に設置したターゲットを撮影して、その画像から鉛直軸とターゲットの重心との差異を算出することで、支柱の建入れの精度を自動で正確に計測します。

ターゲットがガイド管の最下部にあるため、支柱の長さに左右されず支柱全体の建入れ精度が計測可能です。ガイド管を設置することで安定液(※1)中でも、また、支柱の形状によらず計測することができます。

ストレートキーパーを導入した地下4階の複合施設新築工事では、長さ40m以上の支柱を含むすべての逆打ち支柱で、地上で10~15mの鉄骨柱を建てる際と同等の建入れ精度を確保しています。

ストレートキーパーの特長は以下のとおりです。

  1. 長大な逆打ち支柱の建入れを正確に自動で計測できます

    画像処理画面

    画像処理画面

    ストレートキーパーは、逆打ち支柱に沿って仮設の鋼製ガイド管を設置し、ガイド管の上部にカメラ式の鉛直器、最下部にターゲットを取り付けて、その画像から建入れ精度を計測します。

    ターゲットは、ガイド管の最下部にあるベースプレートの中央に反射シートを貼り付け、撮影時にLEDライトで照らして白く映します。カメラ式鉛直器でターゲットを連続して撮影し、鉛直器が示す鉛直軸とターゲットの重心位置との差異を算出して、差異が少ないほど支柱が鉛直であることを示します。

    カメラ式鉛直器は優れた鉛直精度を有しており(※2)、ターゲットをガイド管の最下部に設置することで支柱の長さに左右されず、支柱全体の建入れ精度を正確に計測することができます。

    また、カメラ式鉛直器には装置の傾きを検知する傾斜計も備えているため、コンクリートの打設による振動を受けた場合や支柱の倒れに変化が生じた場合でも、リアルタイムに鉛直軸の補正を行い、高精度かつ安定した計測を実現します。

  2. 安定液中や逆打ち支柱の形状によらず、建入れ精度を計測できます

    ストレートキーパーは、ガイド管内でターゲットを撮影するので、見通しの利かない安定液中でも画像処理による自動計測が可能です。また、ガイド管は支柱に沿って鋼材で固定するため、支柱との距離は自由に設定でき、途中で支柱の断面形状が変化しても対応可能です。

大林組は、逆打ち工事においてストレートキーパーを積極的に活用し、逆打ち支柱の建入れ精度を安定させることによって、品質の高い地下躯体を提供するとともに、確実な工程管理によりお客様からの信頼をさらに高めていくよう努めていきます。

※1 安定液
掘削する杭孔に常に満たされ、作業中の孔壁の崩壊を防ぐもの

※2 鉛直精度
本システムで使用するカメラ式鉛直器は1/20000の鉛直精度を有する。柱の長さが20mの場合、水平誤差は1mm以内。日本建築学会の建築工事標準仕様書JASS 6(鉄骨工事)では、柱の倒れの管理許容差は水平誤差(e)が、e≦H/1000かつe≦10mm、限界許容差はe≦H/700かつe≦15mmと定められている(H=柱の長さ)

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。