耐震壁を削減し開口部の制約を低減する木造技術「オメガウッド・カラムウォール」を開発

汎用木材を活用し、高剛性・高耐力の柱を安価に実現します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、汎用木材を用いた高剛性・高耐力の柱を安価に製作・活用することで耐震壁を削減し、開口部などの制約を最小限に抑える木造技術「オメガウッド・カラムウォール」を開発しました。

架構イメージ

架構イメージ

内観イメージ

内観イメージ

2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が施行されて以降、国内では木材の積極的な利用が推奨されています。大林組は2012年に準耐火構造のローコスト木造大スパン架構技術オメガウッドを開発し、施工実績を重ねてきました。2016年2月には、2時間耐火木造を実現できるオメガウッド(耐火)の技術を開発し、木造の中高層建築物の構築を可能にしています。

しかしながら、これまでのオメガウッドは、国内で生産される汎用木材を使用する場合、断面の幅が最大450mm程度であるため、柱・梁と耐震壁を組み合わせることで耐震性を確保する必要があり、開口部や建物内部の壁配置に制約を受けることがありました。

今回開発したオメガウッド・カラムウォールは、汎用木材として国内で大量生産される断面幅450mm、厚さ90mm程度のLVL(単板積層材)に接合金物を埋め込み、ビスなどのつづり材で一体化することで、幅900mm程度、厚さ180mm以上の大断面を構成して高剛性・高耐力の柱を製作し、これを主架構とします。柱の剛性、耐力が高くなることで耐震壁を削減することができ、開口部や建物内部の壁配置の制約を最小限に抑えることができます。

また、これまでのオメガウッド同様、汎用木材を使用しているため、一般的な木造の中高層建築に比べてコストを抑えることができるとともに、木材はオメガウッド(耐火)と同じ構造を適用すれば、準耐火構造および2時間までの耐火木造も可能です。現在、施工中の木造工場増築工事に適用しています(2017年12月竣工予定)。

外観イメージ (左側部分が今回増築部分)

外観イメージ (左側部分が今回増築部分)

内観イメージ

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オメガウッド・カラムウォールの主な特長は以下のとおりです。

  1. 高剛性・高耐力の柱を汎用木材で安価に製作

    日本住宅・木材技術センターでの加力試験

    日本住宅・木材技術センターでの加力試験

    LVLは規格化が進み、工場で大量生産されるため、安価に入手可能です。しかし、汎用木材のLVLは、幅が最大450mm、厚さ90mm程度であり、開口部の多い建物や大スパン、中高層の建築物のように柱断面の大きい木材を必要とする非住宅建築物の主架構には幅、厚さが不足していました。

    本技術は、この規格サイズのLVLを接合金物とドリフトピンによって幅900mm程度のサイズとし、さらにつづり材を使って厚さを増すことで、剛性、耐力が高い大断面の木材の柱を、安価に実現します。

    部材の組み立ては現地でも可能であり、オメガウッド自体、ビスなどのつづり材を用いて断面を大きくするので汎用木材を二次接着する工程を省略でき、他の工法で大断面木材の柱を製作するより納期の短縮が可能です。

  2. 大きな開口部により自由な外観表現と内部空間の有効利用が可能

    平面イメージ

    平面イメージ

    柱の剛性、耐力が高くなるため耐震壁の削減が可能で、これまでのオメガウッド適用時に採用していた一般的な耐震壁付き軸組工法に比べて、開口部の面積を1.5倍程度大きくすることができます。

    また、柱は外壁にも室内にも目立ちにくく配置できるため、自由な外観表現と内部空間の有効利用が可能です。

  3. 準耐火構造、2時間耐火構造にも対応可能

    2時間耐火に対応した場合の柱断面

    2時間耐火に対応した場合の柱断面

    この技術は、大林組が既に開発しているオメガウッド(準耐火)、オメガウッド(耐火)と同じ構造の木材が使用できます。

    そのため、日本農林規格(JAS)の規格品であれば、燃えしろ設計(※1)による準耐火構造、また、燃え止まり層、燃えしろ層を設ければ2時間耐火までの耐火構造も可能となります。

    燃えしろ層となる表面の樹種は、一定の条件を満足すれば自由に選ぶことができ、意匠性に富んだ木材表現が可能です。

日本の森林資源はもはや地産地消では消費しきれないほど蓄積が進んでおり、建設需要の多い都市部でも木材を利用する「地産都消」が必要であると言われています。また、近年は木質の意匠性が好まれ、防火地域の多い都心部でも「木の見える木造」のニーズが高まっています。

今回開発したオメガウッド・カラムウォールにより、中大規模の事務所や商業施設をはじめ、医療福祉施設、教育施設など幅広い建築物で、「木の見える耐火木造」がリーズナブルなコストで実現できるようになります。大林組は、都心部でも大規模木造の建設を可能とすることで木材利用の促進に貢献するとともに、お客様の多様なニーズに応えてまいります。

※1 燃えしろ設計
燃えしろを省いた有効断面を用いて許容応力度計算を行い、表面部分が燃えても構造耐力上支障のないことを確かめる方法

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。