公益財団法人大林財団(理事長:大林剛郎〔大林組 代表取締役会長〕、所在地:東京都中央区)では、第9回大林賞の受賞者と平成27年度の助成対象者を決定しました。
1 第9回大林賞
大林賞は、都市が抱える諸問題の解決に多大な功績があった研究者をはじめ、都市のあり方や将来像に指標を与え、あるいはそれらを実践することによって社会に大きく貢献をした者を顕彰するもので、2年ごとに実施しています。
今回、第9回を迎える大林賞の受賞者には、コロンビアのアレハンドロ・エチェベリ氏が選ばれました。2016年秋に同氏を日本に招き、授賞式ならびに関連セレモニーを開催する予定です。エチェベリ氏には、賞金500万円が授与されます。
(授賞理由)
アレハンドロ・エチェベリ氏は市街地の70%がスラム街、誘拐殺人が年間600人にも達したというコロンビアのメデジン市で、2004年から2008年にかけて当時のセルジオ・ファハルド市長が推進した、同市を「教育」で再生するという大胆な公共プログラムにおいて、都市開発ディレクターとして中心的役割を務められました。
教育の向上を都市再生の核と位置付け、「最も貧しい地域に最も美しい建築を」をテーマに、長らく見放されていた貧困地域の人々に連帯感を築き、希望の種をまこうというプロジェクトで建築家としての高い見識と優れたリーダーシップを発揮、市街地を走る鉄道にスラム街へ通じるロープウェイや野外エレベーターを連絡させ、あるいは貧困地区に著名な建築家による5つの公園図書館、美術館を整備するなど多彩な政策を通じて、スラム街の住人には教育の場所と機会を提供し、市中心部へのアクセスを容易にすることで就業の機会をつくり、逆にスラム街へはほかの地域に住む住民や観光客のアクセスを促進するなど、貧困と対立の解消、あるいは地域住民の連帯、犯罪の抑制というメデジン市の改革に大きな貢献をされました。
2 平成27年度の研究助成など
平成27年度の研究助成などの選定に当たり、平成27年10月1日~10月30日の間に助成対象を募集したところ、大学その他研究機関から多数の応募をいただきました。選考委員会(大西隆委員長:豊橋技術科学大学学長、日本学術会議会長)による選考・審査の結果46人の研究者と、2件の国際交流、3件の国際会議、3件の展示会に対する助成(総額 35,280千円)を決定しました。各助成の内訳は、以下のとおりです。
(1)研究助成
ア 一般研究者への助成
都市計画・都市景観、都市環境工学、都市交通システム・エネルギー計画、建築技術、都市建築史・都市と文化、都市政策・都市経済などの分野を対象とした一般研究者への助成については、大学などの研究者から85件の応募があり、35人の助成を決定。
(計 25,100千円)
イ 奨励研究助成
大学院、博士課程などに在籍し、都市に関するテーマを専攻する若手研究者への助成については、10件の応募(推薦付き)があり、7人の助成を決定。
(計 3,160千円)
ウ 在外実務研修助成
大学院、博士課程などに在籍し、都市計画または環境・土木・建築設計を志す学生に対し、海外での実務経験の機会を与え、より広い視野から都市を考える研究者育成を目的とする助成については、3件の応募(推薦付き)があり、2人の助成を決定。
(計 850千円)
(2)国際交流に関する助成
都市に関する学術的な国際会議や学会、または共同研究のために来日する外国人研究者の招聘助成および同様の目的で渡航するわが国研究者の派遣助成については、8件の応募があり、2人の助成を決定。(計 1,200千円)
(3)国際会議に対する助成
わが国で開催される国際会議への助成に対しては5件の申請があり、3件の助成を決定。(計 2,970千円)
(4)講演会・展示会・セミナーなどへの助成
展示会などに対する助成については3件の応募があり、3件の助成を決定。(計 3,000千円)
以上の助成対象者の氏名、所属、研究課題などは、平成27年度採択者一覧表(PDF:193KB)のとおりです。
本財団では、今後も引き続き、都市に関する学術研究の助成活動を積極的に行う予定です。
また、平成28年度の各助成事業への募集は、応募期間を10月1日~10月31日とし、大学その他研究機関に対し行う予定です。
以上
この件に関するお問い合わせ先
公益財団法人大林財団
事務局長 鈴木洋治
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