株式会社大林組
日本電気株式会社
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、コンピュータ・シミュレーションによる高精度な地震動などの評価技術を迅速に設計に活かすため、大林組技術研究所(東京都清瀬市)に日本電気株式会社(以下NEC、本社:東京都港区、社長:遠藤信博)製ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-ACE」(※1)を導入しました。最新型ベクトルプロセッサを搭載したコンピュータの導入はゼネコンで初めてです。
南海トラフ地震などをはじめとした自然災害リスクへの対策が求められる中、大規模な計算を必要とする高精度なシミュレーションにより、建物の必要耐力を事前に調査し、設計に活かす技術がますます重要となっています。
大林組では、従来、自社のコンピュータ(NEC製「SX-8R」)を用いたシミュレーションに加え、大容量メモリを必要とする高解像度のシミュレーションに関しては、公共研究機関が保有する高性能計算機や、民間のクラウドコンピュータサービスを利用してきました。しかし、社外のコンピュータは利用時期など、自社のコンピュータに比べ制約が多いことが課題でした。
これらの課題を解決するため、自社のコンピュータを更新し、従来のコンピュータと比較して性能とメモリ容量が約32倍のNEC製ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-ACE」(32ノード、最大性能8.21TFLOPS(※2))を導入しました。
実施する主なシミュレーションおよび「SX-ACE」の特長は以下のとおりです。
- 広域地震動評価
南海トラフ地震などの巨大地震では、長周期地震動が発生します。この地震動が建物に与える影響を評価するためには、震源域を中心とした広域に対して、細かい周波数を含む大量の地震波を総合的に評価する、高解像度のシミュレーションが必要となります。これまで自社コンピュータでは対応しきれなかった解析がすべて自社で可能になることにより、巨大地震発生時の既存建物の健全性評価や、耐震補強工事の提案に迅速に対応できます。
- 風荷重評価
大林組が開発した「数値風洞エアロダイナ®」(※3)は、シミュレーションにより、風洞実験と遜色ない結果が得られる風荷重評価システムです。これまで実際の設計で求められる360度全風向の計算は、シミュレーションの実施に数ヵ月を要するため困難であり、風洞模型の実験に頼らざるを得ませんでした。
しかし、「SX-ACE」では、同計算を約2週間で実施することができ、模型製作・実験の手間、コストを削減することができます。これにより予算などの制約から、これまで風洞実験を行わず、規基準(※4)に従って設計用の風荷重を求めてきた中小規模の建物でも、シミュレーションによって高精度な風荷重が得られることになり、安全で合理的な設計が可能となります。
また、被害事例の多い竜巻やダウンバーストなどの気象現象を工学的なモデルに置き換えて再現することで、突風が建物に与える影響の評価を行うことができます。さまざまな条件でのシミュレーションが可能なので、高い安全性が求められる重要構造物や工場などの建築物の計画・設計に大きな効果を発揮します。
- ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-ACE」
高い実行性能に加え、NEC独自の高密度設計、高効率冷却技術などにより、従来機種と比較し、消費電力を10分の1、設置面積を5分の1に低減したスーパーコンピュータです。世界トップクラスの演算性能とメモリ性能を誇り、最先端研究ツールとしてエコロジカルな次世代型スーパーコンピューティング環境を提供します。
大林組とNECは、今後もIT分野の最先端技術について積極的に連携し、お客様の多様なニーズに応えた建物の追求と、さらなる安全・安心な社会の実現に貢献します。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014
【お客様からのお問い合わせ】
NEC ITプラットフォーム事業部
TEL 03-3798-7229
info@hpc.jp.nec.com
【報道関係からのお問い合わせ】
NEC コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-3798-6511
j-ezawa@az.jp.nec.com
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。
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