樹脂接着系あと施工アンカーのリニューアル技術を開発

既設アンカー孔を再利用して信頼性の高いアンカーに更新します

プレスリリース

株式会社大林組
サンコーテクノ株式会社
 

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)と、サンコーテクノ株式会社(本社:千葉県流山市、代表取締役:洞下英人)は、樹脂接着系あと施工アンカー(※1)のリニューアル技術を共同開発しました。

高度経済成長期の大規模なインフラが老朽化し、大更新時代を迎えようとしている今、適切な維持更新によるインフラ構造物の長寿命化が喫緊の課題となっております。それに伴い、さまざまな付帯設備の固定に用いられるあと施工アンカー工法についても、設計・施工・維持更新時における信頼性の向上が求められております。

あと施工アンカーを更新する場合、アンカー孔を傷つけずに劣化した既設アンカーを引き抜くことが難しいため、別の位置に新たなアンカーを打設して設備を固定し直すのが一般的です。しかしこの方法では、設備固定用金具の形状変更や設備自体の位置の移動、それらに伴う配線・配管といった周辺設備の変更が必要となることに加え、孔(あな)の開け直しに伴う躯体損傷のリスクの発生といった課題がありました。

今回開発したリニューアル技術は、アンカー孔を傷つけることなく既設アンカーを撤去し、同じ位置に新設のあと施工アンカーを設置することで、孔の開け直しに伴う施工の手間や躯体損傷のリスクをなくし、より効率的で信頼性の高い工法を実現しました。

本技術の特長は以下のとおりです。

  1. コンクリートに影響を与えることなく、既設アンカーボルトの撤去が可能です

    新規に開発した穴あけ機械と加熱装置を用いて、既設のアンカーボルトの中心に穴を開け、穴の内部から加熱し、アンカーボルト周囲の樹脂を脆化(ぜいか)させます。その後、インパクトレンチなどでアンカーボルトを回転、抜き取ることで、コンクリートに影響を与えることなく既設アンカーボルトを撤去できます。撤去後は、新設時同様の健全なコンクリート孔に再打設することになるため、十分な強度を保つことが可能です。

     コンクリートに影響を与えることなく、既設アンカーボルトの撤去が可能です

     

  2. 既設アンカーと同じ位置に新しいアンカーを設置することができます

    既設アンカー孔に新設アンカーを設置するので、固定金具の形状変更や、設備の移動に伴う配線・配管の変更などを回避することができ、工期短縮、コスト削減に貢献します。また、孔の開け直しに伴う躯体の損傷が発生しないため、安全性を高めることができます。

  3. より信頼性の高いアンカーへの更新も可能です

    新設のあと施工アンカーは、一般的な接着系アンカーとするほか、より信頼性を高めたい場合には、接着系アンカーと金属系アンカーの特長を併せ持つ樹脂併用の金属拡底アンカー(ハイブリッドアンカー)に更新することも可能です。

大林組とサンコーテクノは、インフラ構造物のリニューアル工事に、安全で信頼性の高い本技術を積極的に提案していきます。

既設アンカーボルトの穴あけ機械と加熱装置

 

金属拡底アンカー(ハイブリッドアンカー)

 

※1 あと施工アンカー
コンクリートに埋め込まれるアンカーボルト(アンカー)のうち、コンクリートが固まってからドリルなどで孔を開け、アンカーボルトを打ち込むタイプのもの。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

サンコーテクノ 技術開発部
TEL 04-7178-3500

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。