株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、山岳トンネル掘削中の地山変位を計測し、地山崩落による危険防止に役立つ「先行天端(てんば)沈下計」を開発しました。既に、中日本高速道路株式会社発注の新名神高速道路 野登トンネル東工事に適用しています。
山岳トンネル工事では、未固結地山や断層破砕帯といった不良地山を掘削する際にトンネル掘削の最先端である切羽の前方地山が崩落する恐れがあります。崩落は切羽付近の作業員にとって危険なだけでなく、地表面に陥没が生じるなど第三者にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
切羽の崩落は、強度不足によって切羽前方の地山が破壊することが原因と考えられます。今回開発した「先行天端沈下計」は従来よりコンパクトな計測装置であり、破壊の予兆となる地山の微小変位(沈下)を高精度に計測できるシステムです。計測値が管理基準値を超えた場合には、警報音と警告灯で切羽近くの作業員に注意喚起するとともに、工事事務所や担当職員にも自動通報します。
「先行天端沈下計」の特長は以下のとおりです。
- リアルタイムに高精度な計測が可能です。
コンパクトな加速度式の傾斜計で、切羽天端付近の地山の中を、従来より細かな50cm間隔で水平に計測できるため、高精度に地山崩落の予兆を捉えることができます。掘削中はリアルタイム計測を行い、管理基準値超過時には警報を即時通報することで、崩落による危険に対して安全に施工することができます。
- 設置に要するコストや工程が短縮できます。
従来の傾斜計は、切羽天端付近に専用のボーリング孔を設け、設置する必要がありました。「先行天端沈下計」は従来よりコンパクトであるため、切羽部分の補強として通常施工される長尺先受け鋼管の中に容易に設置することができます。そのため、従来の傾斜計に比べて設置時間や手間を低減できるうえ、コストも約4割削減することができます。
大林組は、今回の実績を基に、「先行天端沈下計」をトンネル施工に際しての高精度かつ効率的なモニタリングツールとして積極的に提案・展開し、安全・安心な施工で社会に貢献していきます。
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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