BIMと連携した空調設計支援システム「BIMZONE-Σ」を開発

BIMデータを活用し、空調設計を高度化・効率化

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、空調設計を高度化・効率化するBIM(Building Information Modeling)と連携した空調設計支援システム「BIMZONE-Σ(ビムゾーンシグマ)」を開発しました。BIMデータと最新の熱負荷計算プログラム、一次エネルギー消費量(※1)算定プログラムを連携させる国内初のシステムです。

改正省エネ法に基づく「住宅・建築物の省エネルギー基準(※2)」改定により、対象となる建築物全体の省エネルギー性能は、一次エネルギー消費量を新たな指標として評価することになりました。2013年4月から施行されており、2014年4月に完全施行となります。一次エネルギー消費量での評価を支援するため、独立行政法人建築研究所のウェブサイトでは、一次エネルギー消費量算定プログラムが公開されています。

この精度の高いプログラムを利用するには、緻密で正確なデータ入力が必要です。例えば、空調ゾーンを設定し、空調ゾーンごとに外壁や窓の仕様や面積、空調機に関するデータの入力が必要となります。また、熱負荷計算プログラムと同じ内容のデータを、それぞれのプログラムの書式に合わせて入力する必要があり、多大な労力を伴います。

今回開発した「BIMZONE-Σ」は、BIMデータから空調ゾーンごとの属性情報を取り込み、熱負荷計算プログラム、一次エネルギー消費量算定プログラムの入力データと連動させることで、極めて高度で効率的な空調設計を可能にしました。また、本システムにより、建築関連の入力作業時間が従来比で約50%削減可能となりました。

BIMZONE-Σの画面イメージ

BIMZONE-Σの画面イメージ

「BIMZONE-Σ」の主な特長は以下のとおりです。

  1. 国土交通省などにより開発された一次エネルギー消費量算定プログラムを利用

    一次エネルギー消費量を指標とする評価を行うため、国土交通省国土技術政策総合研究所や建築研究所などによって開発され、公式な算定ツールとして公開されている一次エネルギー消費量算定プログラム用の入力データを作成します。

  2. 高精度の熱負荷計算プログラム「NewHASP/ACLD」を利用

    熱負荷計算プログラムとしては、2012年4月に社団法人建築設備技術者協会から公開された最新版の高精度な動的熱負荷計算プログラム「NewHASP/ACLD」を用いています。一年分の気象データを時刻ごとに与える非定常計算(※3)や、5種類の夏冬ピーク代表日が繰り返すとした周期定常計算(※4)が行えます。

  3. 空調ゾーンごとにデータを効率的に作成

    建築BIMソフト上での簡単な操作により、部屋の窓配置などの情報から空調ゾーンを自動設定し、建物の熱的特性や空調システム特性を考慮した、空調ゾーンデータの統廃合編集ができます。また、ゾーンごとに各種面積が自動計算され、熱負荷計算用データ、一次エネルギー消費量算定用データが効率的に作成できます。

大林組は、2015年度末にはすべての設計施工プロジェクトにBIMを適用することをめざした取り組みを進めています。2013年10月1日付でBIM推進室を改編し、従来以上に強力にBIMを展開し、建物や構造物などのプロダクト(Product)をBIMとCIM(Construction Information Modeling)によりデザイン(Design)するPDセンターを設立しました。

新しい組織のもとで「BIMZONE-Σ」を活用することで、環境への配慮と快適性を両立した高度な設計をしていくとともに、BIMを実務で活かすことで、効果的な設計提案や業務の効率化、そして品質の向上に役立てていきます。

 BIMと連携した空調設計支援システム「BIMZONE-Σ」フロー

BIMと連携した空調設計支援システム「BIMZONE-Σ」フロー

※1 一次エネルギー消費量
化石燃料、原子力、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーを「一次エネルギー」、これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市ガスなど)を「二次エネルギー」という。建築物では二次エネルギーが多く使用されており、それを一次エネルギー消費量へ換算することにより、同じ単位で建築物の総エネルギー消費量を求められる。

※2 住宅・建築物の省エネルギー基準
省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)に基づく「住宅・建築物の省エネルギー基準」は「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」の通称。

※3 非定常計算
現在の室温・熱負荷を求めるために、過去にさかのぼって室温・熱負荷の変動履歴の影響を考慮する精度の高い計算法。

※4 周期定常計算
1日24時間分の気象データと室使用条件が、毎日周期的に繰り返すと仮定した熱負荷計算法。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。