雷警報システム「カミナリウォッチャー」を開発・適用

接近する雷や突発性の落雷を事前に捉え、施工中の現場の安全性を向上

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、接近する雷や突発性の落雷を異なる2種類のセンサーにより検出し、施工中の現場への落雷の危険性を高精度かつ効果的に判定・通知する雷警報システム「カミナリウォッチャー」を開発しました。

施工中の現場において、落雷の危険性が高い状況下では、作業員は迅速に避難行動を取る必要があります。特にクレーンを使用している場合、クレーン頂部への落雷が、吊り荷用のフックを伝わり地上に向けて落ちることがあり非常に危険です。このため、事前に落雷の危険度を警報・通知するシステムが必要です。既存のシステムは、周囲の落雷状況を監視するセンサーの情報から接近してくる雷の落雷の可能性を評価していますが、雷は徐々に近づいてくるものだけではなく、現場付近で雷雲が形成され、前兆なしに突然落ちてくることがあるため、より現場の位置に特化した高精度な情報が必要です。

今回開発した「カミナリウォッチャー」は、現地にセンサーを設置することで、遠方の雷の接近はもちろん、現場上空の雲の静電気を監視し、さらに強雨域や進行方向などの複数の情報を組み合わせ、独自の解析処理手法で落雷の危険性を高精度かつ効果的に判定・通知することができる雷警報システムです。

また、現場上空の雲が雷雲であるかどうかを判定することができる雷雲センサーも備えているため、前兆なしに突然落ちてくる雷に対しても事前に警報を出すことができます。既に5件(予定を含む)の現場で適用し、効果を確認しています。

■カミナリウォッチャーの構成

カミナリウォッチャーの構成

「カミナリウォッチャー」の主な特長は以下のとおりです。

  1. 現場の直上の雲を監視し、前兆なしに突然落ちてくる雷にも対応しています。

    上空の雲の静電気を検出する雷雲センサーを現場に設置することで、落雷状況の監視だけでは予測できず被害が拡大しがちな「突然落ちてくる雷」にも高精度に監視できます。

  2. 複数の情報から落雷危険度の総合評価をします。

    現場に設置した落雷と雷雲の2つのセンサーおよび、雷の位置(強雨域)とその移動方向(上空の風向き)の情報を考慮し、独自の解析処理手法で危険度を4段階に判定します。このため、雷が現場から遠ざかっている状況などでは警報レベルを軽減することで、作業中断時間が冗長になることを防ぎます。

    ■雷雲センサー

    雷雲センサー

    • 現場に設置することで現場上空の雲の危険度を監視

    • 雲が雷雲かどうか、どの程度危険かを電気的に測定

    • 検出範囲は雲の大きさ程度(十数km程度)まで

    • 電気的な放電現象がなくても検出可能

    ■落雷センサー

    落雷センサー

    • 放電現象に伴い発生する電磁波を捉えるアンテナ

    • 落雷の強さや頻度を電気的に測定

    • 検出範囲は広く、直近~100km以上。早期の警戒に有効

    • 電気的な放電が起こらなければ非検出

  3. 警報メールの発信など多様な面から現場の落雷対策を支援します。

    警報を電子メールで遠隔通知することができるので、現場や工事事務所に居なくても危険状態を確認することができます。また、作業員の安全面だけでなく、落雷によるクレーンなどの重機の故障を防ぐための事前措置の判断や、火薬を用いる山岳トンネルなどでの作業実施判断にも有用であり、多様な面から現場の落雷対策を効果的に支援します。

大林組は、「カミナリウォッチャー」を施工中の現場の高精度かつ効果的な安全管理ツールとして積極的に提案・展開し、安全・安心な施工で社会に貢献していきます。

■システム画面

システム画面

  • 雷雲センサー、落雷センサー、降雨域と風向き情報それぞれの危険度から、警報レベルを判定

  • 雷雲グラフ表示:横軸が時刻(右端が現在時刻)、縦軸が電界強度

  • 落雷頻度表示:横軸が時刻、縦軸が落雷頻度(100km以内水色、30km以内橙色、10km以内桃色)

  • 降雨域風情報表示:降雨域(水色)や豪雨域(黒、20mm/h以上)、上空3kmの風向きを表示

【対象となる施工現場の例】

  • タワークレーンを使用する高層建物の現場

  • クレーンや杭打機など背の高い重機を使用し、周囲に高い建物が少ない現場

  • 広大かつ避難場所までが遠い、造成などの土木現場

  • 火薬を用いる山岳トンネル

  • 北関東や北陸などの雷の多い地域の現場

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。