株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、宇部興産株式会社(本社:山口県宇部市、社長:竹下道夫)と共同で開発した常温硬化型で現場打設が可能な超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」を、水流摩耗防止部材として実工事に適用しました。
河川を渡る橋梁など、河川内に橋脚が設けられる場合、水流や砂利・岩石などの衝撃により河床表面が摩耗します。こうした状況を防ぐため、従来橋脚などに用いられているレジンコンクリート(※1)や高強度プレキャスト板などの摩耗防止部材を河床表面に採用していますが、これら部材はコスト面や、施工性の面でも改善が必要とされていました。
大林組では、超高強度鋼繊維を混入した圧縮強度180N/mm2以上、引張強度8.8N/mm2以上の超高強度材料である「スリムクリート」を開発し、2012年1月に公益社団法人土木学会から技術評価証を取得しています。これまで、その強度特性を活かした部材のスリム化・軽量化に、さらには緻密な硬化体であることによる高耐久性を活かした補強部材として適用されてきました。
この「スリムクリート」は、水流摩耗防止材料としての適性もあり、レジンコンクリートや高強度プレキャスト板と比較し、50~70%のコストで恒久的に摩耗が防止できます。また、熱養生が必要な他の超高強度繊維補強コンクリートと異なり、現場での打設・養生が可能であり、複雑な形状の施工であっても、フレキシブルに対応することが可能です。
このたび、これらの性能が評価され、京王電鉄京王線多摩川橋梁の橋脚フーチング上部表面防護工を施工するに当たり、「スリムクリート」が水流摩耗防止部材として採用されました。
「スリムクリート」が水流摩耗防止部材として優れている点は以下のとおりです。
- 高い耐久性と耐摩耗性
(1)繊維補強材のため、摩耗や衝撃による破損・飛散が防止でき、水流による摩耗や砂利・岩石による衝撃に対しても高い抵抗性を有しています(普通コンクリートと比較して15~20%程度と著しく小さい摩耗量)。
(2)モルタル組成が非常に緻密であるため、中性化や塩害、凍結融解に対して100年以上の長期耐久性があります。
- 厚さ数センチの部材から橋梁まで、さまざまな形とサイズに対応可能
(1)現場で打設・養生(常温で28日間)可能なため、施工規模や施工条件の制約を大幅に軽減できます。プレキャスト部材の工場製作も可能であり、従来と比較して、低温度かつ短時間で製作が可能です。
(2)移動式プラントを使用することで、近隣に生コンプラントのない山間部における摩耗劣化の激しい部材の補修や建設、小さな構造物の現場施工が可能です。
(3)流動性や充てん性が高く、複雑な形状や長大な構造物にも対応可能です。
(4)用途に合わせ、鋼繊維だけではなく有機繊維も使用可能です。
- 部材のスリム化・軽量化で、空間設計の自由度、使用用途を拡大
(1)普通コンクリートの7倍以上の強度を有しており、鉄筋が不要な薄型の部材を製作でき、大空間を造り出す設計が可能です。
大林組は、生コンプラントを用いた大量打設から、移動式プラントによる少量施工まで幅広い供給体制が整った「スリムクリート」を活用し、お客様のさまざまなニーズに対応するとともに、安全・安心な社会の構築にこれからも貢献していきます。
以上
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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