業界初、新種微細藻類による水処理装置を搭載した道路除染システムを共同開発

洗浄水を連続浄化・再利用し、除染作業時間を大幅に短縮

プレスリリース

株式会社大林組
株式会社バイノス
ニルフィスクアドバンス株式会社

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、株式会社バイノス(以下バイノス社、本社:千葉県柏市、社長:湯川恭啓)、ニルフィスクアドバンス株式会社(以下ニルフィスクアドバンス社、本社:神奈川県横浜市、社長:藤田道隆)と共同で、アスファルトおよびコンクリート面の除染に効果的なサイクロンシステムに、業界で初めて新種微細藻類による水処理設備を搭載し、洗浄水の連続浄化・再利用を可能にすることで作業時間の大幅な短縮を実現した道路除染システム「バイノスRDⅡ工法」を共同開発しました。

道路などの除染に用いるニルフィスクアドバンス社の除染車両(搭乗式高圧洗浄機)のサイクロンシステムは、1時間当たり約1,000m2の高い除染効率が確認できています。しかし、除染作業後に回収水の排出、洗浄水の給水などに除染と同じぐらいの時間を要するため、トータルでは作業効率は2分の1に減少しています。

除染作業の実績とノウハウを有する大林組は、放射性物質を吸着する「バイノス」を有するバイノス社、サイクロンシステムを持つニルフィスクアドバンス社に技術指導を行うとともに、共同で実証実験を行いアスファルト舗装道路の効果的な除染システム「バイノスRDⅡ工法」を開発しました。

「バイノスRDⅡ工法」は、サイクロンシステムに新種微細藻類「バイノス」を用いた水処理設備を搭載し、処理水を洗浄水に再利用可能なまでに車上で連続的に浄化することで、給排水による除染作業を中断せず、作業時間の大幅な短縮を実現しました。「バイノスRDⅡ工法」は、福島県郡山市の除染作業で承認のもと、アスファルト面の除染作業で実績があります。3社は福島県郡山市を中心に「バイノスRDⅡ工法」による新型道路除染車両を現在2台稼働させていますが、9月中に12台を稼働させ年内にすべてのシステムを新システムに改造します。

「バイノスRDⅡ工法」のシステムは以下のとおりです。

  1. 既存のシステムをパッケージ化し連続的な除染を可能に

    サイクロンシステムは洗浄水が最大27MPaの高圧で路面を洗浄すると同時に汚水を95%以上で回収できるシステムです。従来は、回収した汚染水を除染車両から排出し、排水処理設備でバイノスフロックを用いて凝集吸着沈殿処理していました。これらをパッケージ化し、同一車両への車載型にすることで給排水の時間を省いた連続的な除染作業を可能にしました。
     既存のシステムをパッケージ化し連続的な除染を可能に

  2. 高効率で迅速な除染が可能

    郡山市の除染作業での除染効果は表面の汚染度合いで約80%、高さ1mの空間線量率で約50%の低減率が確認できています。また、駐車場面積が約400m2の除染作業を30分以内で終了しました。1日当たり300m2の施工スピードである従来の高圧洗浄と比較すれば作業時間を10分の1以上に短縮が可能です。
     高効率で迅速な除染が可能

  3. 回収水の処理・再利用により省資源化

    「バイノス」を用いた汚染水中の放射性物質の除去は数多くの実績があります。郡山市の除染では「バイノス」を主成分としたバイノスフロックで除染後の回収水を処理した結果、被処理水の放射性Cs(セシウム)は134、137共に2Bq/L未満(放流基準:Cs134,137混合の場合で60~90Bq/L、飲料水基準:10Bq/L)まで浄化されました。今回、新型道路除染車両に搭載するため、バイノスフロックをストロー状に加工(下写真参照)して利用する水処理設備を共同開発しました。回収水を処理・再利用することで省資源化が図れます。

    バイノスフロックとは、新規微細藻類「バイノス」の乾燥粉末を主成分とした吸着沈殿剤で、バイノスとは有用なアルギン酸様オリゴマーを細胞外に代謝して放射性Csを吸着させます。  回収水の処理・再利用により省資源化

    「バイノスRDⅡ工法」による新型道路除染車両に搭載する水処理システムのフロー

    「バイノスRDⅡ工法」による新型道路除染車両に搭載する水処理システムのフロー

大林組、バイノス社、ニルフィスクアドバンス社の3社は、被災地の早期復旧をめざし、安全・安心で効果的な除染技術を提供していきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

バイノス社 広報担当
TEL 04-7132-7551

ニルフィスクアドバンス社 広報担当
TEL 045-548-2571

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。