株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、安全性と機能性を向上させ、省エネルギーな術野(じゅつや)(※1)の環境を提供するため、各種技術をパッケージ化した手術室システムを開発しました。
医療機関において院内感染の防止は重要な課題です。手術室では、術野の真上に設置したHEPAフィルタ(※2)から除塵および除菌後のきれいな空気を供給することで、術野の清浄度を高めるなど、院内感染への対策を徹底しています。しかしながら、新型インフルエンザをはじめとした感染症など新しい脅威が次々に発見されており、医療スタッフから、より安全性の高い手術環境が求められています。
また、通常手術室では、感染防止のために室外より室内の空気圧を高めて(正圧)、室外空気の侵入を阻止しています。しかし、現在多くの手術室の出入り口に使われている引き戸は隙間が多く、室外に必要以上に空気が漏れてしまいます。そのため、より多くの外気を導入して温湿度の調節を行って空調しなければならず、多量のエネルギーが必要となっています。こうした消費エネルギーの抑制と同時に、手術室の機能を維持したいというニーズがあります。
さらに、手術室では手術方法によって求められる光環境が異なります。最近増加している腹腔鏡などの内視鏡手術の場合、内視鏡モニターが見やすいように手術室の照度を落とします。しかし単に照度だけを落とすと、周辺にいる医療スタッフの動きに支障が生じることがあります。内視鏡モニターが見やすく、医療スタッフが動きやすい、省エネルギーな光環境が求められています。
このような手術室の課題を解決すべく、大林組は各種技術をパッケージ化し、安全性と機能性を向上させ、かつ省エネルギーな術野環境を提供する手術室システムを開発しました。これは、CDCガイドライン(※3)に建築的および設備的な技術をさらに付加した新しい手術室システムです。
手術室システムの主な特長は以下のとおりです。
- より実践的な手術室の衛生対策を行う空調システム
手術室の空調システムにクレベリン発生機®(※4)(大幸薬品株式会社)を組み込み、手術前後の手術室内に二酸化塩素分子を放出し、空気中のウイルスや菌を除去します。除去率は99%となっています(大幸薬品調べ)。除菌力を付加した空気を手術前後に集中して供給することで、手術室の衛生管理を支援することができます。
- 換気回数の低減による省エネルギーの実現
手術室の出入り口に、クリーンルームなどに使われる気密性、水密性を有したセミエアタイトの引き戸を採用しています。手術室内の適正な室圧を確保し、室外への空気の漏れが減少するため、必要な換気性能を保持したまま、導入外気を減少させることができ、外気処理にかかるエネルギーの浪費を抑えることができます。
- 機能的で省エネルギーとなる光環境システム
内視鏡下の手術で部屋の全体照明を落としたときに、補助照明として無段階調光が可能でエネルギー効率に優れた青色発光ダイオード(LED)を使用します。壁を照らす間接照明とするため光源が直接見えず、モニター画面への映り込みも抑えることができます。さらに青系の光は赤系の色が強いモニター画面を直視する内視鏡下手術執刀医の負担軽減となります。この光環境システムにより、内視鏡手術時の執刀医とスタッフ双方に適した光環境を、ランニングコストを抑えて実現できます。
大林組は、医療施設でのお客様の安全性、機能性、省エネルギーに対する要望に応えるため、手術室システムを含め、豊富なノウハウを活かしたソリューションをご提供していきます。
以上
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