株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、東北大学、東京工業大学と共同で、福島県相馬港の災害復旧工事において、震災で発生したコンクリートがらを利用した海水練りコンクリートによるブロック製作の実証実験を行いました。
東日本大震災では、被災地において大量のコンクリートがらが発生し(宮城県、岩手県の両県で推計約400万t)、その有効利用が課題となっています。一方、津波により甚大な被害を受けた港湾施設の復旧には大量のコンクリートが必要です。
こうした状況の改善をめざし、国土交通省東北地方整備局が行った「東北港湾の災害復旧工事における技術の募集」において、大林組が2大学と共同で開発した「震災コンクリートがらと海水練りコンクリートを使用した港湾工事のコンクリート部材製造技術」が、適用可能な技術として認定されました。
このたび、同技術の実証実験を「相馬港本港地区防波堤(沖)(災害復旧)消波外工事」(施工者:日起建設株式会社)において行い、震災コンクリートがらを使用した25t消波ブロック、根固めブロックなどの港湾用ブロックを製作しました。その結果、ブロック製作のコストダウンや工期短縮の実現を確認できました。
震災コンクリートがらを利用した海水練りコンクリートの特長は以下のとおりです。
- 震災コンクリートがらの有効利用
25t消波ブロック1基の製造で、約14tのコンクリートがら(コンクリート1m3当たり1.4tのがら)を処理でき、有効利用が図れます。
- ブロック製作コストの縮減
プレパックドコンクリート工法(※1)、ポストパックドコンクリート工法(※2)などで、コンクリートがらを破砕や加工せず、そのまま利用することにより、がらの処理費、ブロック製作費の削減が図れ、生コンクリートを使用した場合に比べ、約35%のコスト削減が可能です。
- ブロック製作工期の短縮用
海水をモルタルの練り混ぜ水とすることで、初期強度が大幅に増加し、脱型が早く行えるため、施工サイクルの短縮が可能です。特に寒冷地における冬期施工時の養生日数を大幅に短縮できます。
- ブロックの品質確保
海水を使用することにより強度が増加するため、品質にばらつきがあるコンクリートがらを利用しても、港湾用ブロックに必要な強度が確保できます。
大林組は、震災コンクリートがらを利用した海水練りコンクリート技術により、被災地の復興事業に貢献するとともに、これからも社会的な課題の解決に向けた技術の開発を進めていきます。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。