株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、現場で打ち込まず残ったコンクリート(以下、残コン(※1))や生コン工場に戻されるコンクリート(以下、戻りコン(※1))を原料にした高品質再生骨材コンクリートの供給体制を東京都内に構築しました。既に、国土交通省の大臣認定も取得し、今後、あらゆる構造物に再生骨材コンクリートの適用が可能となりました。
一般的に高品質再生骨材コンクリートは、主な材料である骨材に、建設解体時に発生するコンクリート塊を使用します。資源の有効活用の観点から、その利用が促されるものの、製造工程での品質管理の煩雑さや運搬コストにより、その費用は一般の普通コンクリートの1.5~2倍になることから普及を阻害していました。
そこで大林組は、再生骨材の原料を見直し、未使用のまま主に産業廃棄物として処理され、その処分量の多さから有効活用が課題になっている「残コン」や「戻りコン」に着目しました。
残コン・戻りコンを硬化させて再生骨材の原料とし、中間処理から再生骨材製造、そして生コン製造に至る各工場をネットワーク化することで、製造過程を集約し、高度な品質管理とエネルギーコストの低減を図りました。これにより、あらゆる構造体へ適用できる高品質な再生骨材コンクリートを、価格上昇を抑えて供給することが可能となり、当社比では、従来の高品質再生コンクリートより20%以上、供給エリアによっては30%のコストダウンを実現しています。
この供給システムが本格的に稼働すれば、将来的には一般の普通コンクリートと同等の価格で高品質再生骨材コンクリートが提供できるようになります。さらに、こうした都市におけるコンクリート資源循環システムの構築は、コンクリートに使用される良質な天然骨材が年々減少している中で、天然骨材の使用量の低減にも寄与し、環境に優しい生コンの供給を実現するものです。
今回の高品質再生骨材コンクリートの特長は以下のとおりです。
- 強度、耐久性は普通コンクリートと同等です
再生骨材は、「加熱すりもみ方式」と呼ばれる高度な処理方法で高品質な再生骨材を高効率で製造します。製造した再生骨材は、JIS A 5021「コンクリート用再生骨材H」の認証を受けたものです。普通骨材と同等の高品質であるので、強度、耐久性は普通コンクリートと変わりません。土木・建築工事を問わずあらゆる構造物へ適用が可能です。
また、原料の受け入れ、再生骨材の製造、再生骨材コンクリートの製造・打設に至るまで一貫した品質管理体制を構築し、建築物の構造体コンクリートへ適用するために必要な国土交通省の大臣認定を取得しました。これにより、普通コンクリートと同様にあらゆる用途に再生骨材コンクリートを適用することができます。 - 骨材の用途履歴が明らかです
コンクリートの製造過程や、建設現場において不要になった未使用のコンクリートを硬化させたものを原料としているので、骨材の起源が明らかで、試験成績書も確認できます。また、建物解体時に発生するコンクリート塊から再生骨材を製造する方法に比べて、鉄筋、木片などのコンクリート以外の不純物が混入することは一切ありません。
- 最終処分量を低減します
残コン・戻りコンの発生量は生コン生産量の約1.6%で年間150万~200万m3といわれています。これを再生骨材の原料とすることで最終処分量を減らすことができます。
既に高品質再生骨材コンクリートは、東京都内の土木・建築現場へ適用することが決まっています。一方、大阪地区においても2011年7月に再生骨材コンクリートの大臣認定を既に取得しており、東京と大阪において再生骨材コンクリートを供給できる体制が整いました。
大林組は、今後再生骨材コンクリートを積極的に適用し、資源循環社会の形成に貢献するとともに、お客様の環境への要望に応える環境技術を開発していきます。
【参考】
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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