株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、2棟の隣接する中低層の免震構造建物を連結することで、高い構造安全性を低コストで実現する工法「O-MIC(オーミック)」を開発し、現在新築中の、宮城県仙台市内における集合住宅で当技術を初適用しました。
近年、免震マンションの需要が増えており、敷地条件によっては同一敷地内に複数棟の免震マンションを建設し、隣接するマンションを渡り廊下で接続する場合があります。このようなマンションでは、地震による揺れが棟ごとに異なるため、渡り廊下などの接続部分に使用するエキスパンションジョイント(※1)には、通常の免震建物の2倍の可動範囲がある高価で特殊なものを採用しなければならないという課題がありました。
今回開発した「O-MIC」は、2棟の免震建物を免震層の直上と頂部などで部分的に接続し、地震力を相互に補完することで構造安全性を高めます。また、2棟を連結する効果で建物の揺れが一体的となり、可動範囲の大きなエキスパンションジョイントも不要です。
今後、2棟を隣接させる板状タイプの免震マンションを主な用途として積極的に提案していきます。
「O-MIC」の主な特長は以下のとおりです。
- 地震力を相互に補完
隣接する異なる中低層の免震建物が地震力を相互に補完することで、構造安全性を向上させます。従来、隣接する建物をオイルダンパーなどのダンパーによって接続するという技術はありましたが、「O-MIC」のように堅固な部材で隣接する建物の一部を接続して、一体化により地震力を相互補完するという技術はありませんでした。
一般耐震構造の場合、地震時に大きなねじれ変形が生じるため、直交する2棟の建物を堅固に連結することはできませんでしたが、2棟をそれぞれ免震構造にすることによって初めて可能となりました。また、隣接する2棟の配置形式としては、一般的にT字型、L字型、V字型があり、それらの型式すべてに対応しています。
- エキスパンションジョイントのコストを10分の1以下に低減
連結効果による建物の揺れの一体化により、地震時に2棟間の変形差がほとんど発生せず、渡り廊下などには一般的で安価なエキスパンションジョイントの採用が可能となるため、同部位のコストを10分の1以下に低減可能です。
以下は、「O-MIC」を初適用した「ライオンズ仙台レジデンス(2013年12月竣工予定)」の概要図です。2棟T字型配置の13階建ての免震マンションであり、2棟それぞれが板状タイプのマンションです。
大林組は、「O-MIC」を、高い安全性の免震建物をより低コストで実現する合理的な方法の一つとして提案していき、広く社会の安全・安心に貢献する設計・施工技術を追求していきます。
以上
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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