超高層制振構造システム「デュアル・フレーム・システム」の適用件数増加

独自制振技術が評価され適用件数累計10件を超えました

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、独自開発の超高層制振構造システム「デュアル・フレーム・システム(以下、DFS)」が持つ震災への高水準の安全性と合理性が認められ、適用件数を順調に増やしています。

このたび、川崎市川崎区の「港町駅前タワーマンション Riverie(リヴァリエ)」において、2010年末に着手したA棟(2013年2月竣工予定)に続き、地上29階建て地下1階、478戸のB棟および地上28階建て地下1階、475戸のC棟の新築工事に着手し、「DFS」の国内適用件数が累計11件(適用実績:竣工4件、施工中5件、新規着工2件)となりました。

本プロジェクトは、事業主の京浜急行電鉄株式会社、大和ハウス工業株式会社が、京急川崎駅から一駅の港町駅前で進める街づくりです。総開発面積が約4万m2の広大な敷地に、総戸数が1,408戸に及ぶトリプルタワー(A・B・C棟)を建設するビッグプロジェクトで、「DFS」をこうした大規模計画に適用するのは全国で初めてとなります。

「DFS」は、一つの建物の中に二つの構造体(建物の中央に構築した固い心棒と、その外周に配置した柔構造の建物)を造り、オイルダンパーで連結するシステムで、長周期を含む地震動や強風による建物の揺れを軽減する高性能制振システムです。中央に構築した固い心棒(箱形の耐震壁架構)は、内部を立体駐車場として有効利用できます。また、外周に配置した柔構造の住居部分は、地震時にかかる力が低減され、建物強度を損なうことなく住居部分の柱や梁の数を減らすことができるので、フラットで快適な住空間を描くことが可能です。

「デュアル・フレーム・システム(DFS)」の構成

こうした「DFS」の性能から、制振技術に対する新規性、信頼性、発展性、事業展開性などの面から審議された第12回日本免震構造協会賞(2011年)の技術賞(奨励賞)を受賞するなど、本技術の効果は高く評価されています。

大林組は、高い耐震性能と快適な居住空間を同時に実現する超高層制振構造システムとして、適用件数を順調に増やしている「DFS」について、今後も積極的に提案し、タワーマンションなどの超高層ビルの建設に広く適用していきます。

港町駅前タワーマンション Riverie(リヴァリエ)の完成予想図

港町駅前タワーマンションRiverie(リヴァリエ)の完成予想図

*右から、「Riverie(リヴァリエ)」A棟、B棟、C棟
*設計段階の図面を基に描き起こしたものであり、実際とは多少異なる場合があります

超高層制振構造システム「デュアル・フレーム・システム」の概要

固さが異なる二つの構造体とダンパーの働きで、地震力を3分の1に低減

超高層制振構造システム「デュアル・フレーム・システム(DFS)」は、一つの建物の中に二つの構造体(建物の中央に構築した固い心棒と、その外周に配置した柔構造の建物)を造り、オイルダンパーで連結するシステムです。

建物中央の固い壁構造物が心棒の役割を果たします 建物中央の固い壁構造物が心棒の役割を果たします

互いに分離する二つの構造体はそれぞれ固さが異なるため、揺れ方に差が生じます。この違いを利用してダンパーが地震エネルギーを効果的に吸収し、高い制振性能を発揮します。

同じ規模の一般的なビルと比べて、地震力(地震時に建物に加わる水平力)を3分の1程度に低減できるほか、上層階の水平応答加速度(床の揺れの激しさ)が小さくなり、家具などの転倒による二次災害も低減できます。

中央に構築した固い心棒(箱形の耐震壁架構)は、内部を立体駐車場として有効利用しています。また、外周に配置した柔構造の住居部分は、地震時にかかる力が低減されるため、自由な住戸プランが可能になり、快適な空間を提供できることも大きなメリットです。

「デュアル・フレーム・システム」の特長

「デュアル・フレーム・システム」の特長

  1. 制振装置の数は3分の1でも3倍の制振効果

    一般的な上下連結タイプの制振構造の建物に比べ、3分の1の制振装置の設置数で3倍の制振効果が得られる画期的なシステムです。(超高層RC造集合住宅において、地震応答解析による制振装置の吸収エネルギーで比較)

  2. 柱や梁のない広い居住空間を創出

    高い制振効果により、住宅棟を構成する柱や梁にかかる力が小さくなるので、住戸内が柱・梁のない広い居住空間となり、自由な平面プランニングが可能です。

  3. 立体駐車場の遮音性能が向上

    騒音源となる立体駐車場を、中央部の心棒の内部に配置することで、住宅への騒音を遮断できます。住宅棟と立体駐車場との隙間を、通気・換気・設備機械置き場に有効利用することもできます。 立体駐車場の遮音性能が向上

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。