株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、国土交通省九州地方整備局発注の熊本3号津奈木トンネル建設工事(全長:1,848m)において、充填(じゅうてん)性を大幅に改善した増粘剤系中流動コンクリート「スムースクリート」をトンネル覆工に初適用しました。
トンネルの覆工は、アーチ形状で断面厚さが薄く、コンクリートを隅々まで均質に充填するのが難しい部材です。近年では、締め固め不要の自己充填性を有する高流動コンクリートと従来の覆工コンクリートの中間的な性状で、わずかな振動締め固めを行うことで、密実に充填できるレベルにまで流動性を高めた中流動コンクリートの適用例が増えています。
しかしながら、中流動コンクリート技術は、高い流動性に見合う材料分離抵抗性を確保するために、混和材(フライアッシュや石灰石微粉末)やセメントを増量することから、製造設備上の制約や、施工時の温度ひび割れ対策を要することなどの課題がありました。
そこで、大林組では、従来のコンクリートと同様の設備で製造が可能で、均質性が高くひび割れの発生リスクが少ない、増粘剤系中流動コンクリート「スムースクリート」を2010年12月に開発しました。
このたび、国土交通省九州地方整備局でその性能が認められ、同局発注の津奈木トンネルにおいて適用を開始しました。今後は、2012年10月までにトンネル全長で約16,000m3を打設する予定です。
「スムースクリート」の特長は以下のとおりです。
- トンネル覆工を高品質化
従来のコンクリートに比べて流動性が高いため、狭い空間内にも密実に充填することができます。コンクリートの粘性を制御できる増粘型の高性能AE減水剤を使用することで、混和材やセメントを増量することなく、高い流動性に見合う材料分離抵抗性を有しており、ブリーディングが少ないため、均質性に優れています。また、セメントを増量しないため、発熱によるひび割れの発生リスクが低減され、耐久性に優れたトンネル覆工が構築できます。
- 製造設備の制約がなく、生コン工場で製造
増粘型高性能AE減水剤は、従来の混和剤と同様の計量器を用いて計量できるので、生コン工場で通常どおり製造ができ、新たな設備は必要ありません。また、製造時の管理も一般のコンクリートと同様です。
- 従来の施工設備で施工可能
従来のトンネル覆工と同様の施工設備(スライドセントル、コンクリートポンプ車)で施工できます。
大林組では、均質で耐久性に優れたコンクリート構造物を積極的に構築する観点から、この「スムースクリート」を、トンネル覆工以外にも高架橋やボックスカルバートなど一般のコンクリート構造物への適用を積極的に提案していく予定です。
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