株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、三菱重工メカトロシステムズ株式会社(本社:兵庫県神戸市)と共同で、非円形断面シールドトンネル用セグメント組立装置を開発し、実物大セグメント組立試験を行いその性能を実証しました。
現在、都市部の地下での道路や鉄道の建設では、近接する既設インフラや地下構造物の回避と、工事中の環境負荷低減のため、完成構造物の断面形状に近い矩形(くけい)や楕円(だえん)形のような非円形断面トンネルの採用事例が増えています。しかしながら、非円形断面での施工に際して、従来の「円形リング式」セグメント組立装置を用いた場合、円形断面と比べて、排土設備などを設ける空間が大きくとれないことや、セグメントピースごとに形状や重量が大きく異なるために取り付け等の操作が困難になることが課題でした。
こうした課題の解消に向けて、「ラック&ピニオン駆動モノレール式」を用いた非円形断面シールドトンネル用セグメント組立装置を開発しました。また、実物大のセグメント組立試験を実施し、セグメント(1ピース重量10トン)の把持(はじ)・組立を行い、操作性・走行安定性について十分に実用可能であることを確認しました。
本装置の主な特長は、以下のとおりです。
- コストは従来と同等で、任意の断面形状に容易に適用することができます
モノレール式ラックを断面形状に合わせて製作するため、さまざまな形状へ容易に適用できます。コストは従来と比較して同等ですが、セグメント組立装置本体は形状に関わらずほぼ同じ構造で対応できるため、転用が可能で省資源となります。
- 有効内空間を中心部に大きく確保できます
従来、非円形断面シールド機では、「円形リング式」セグメント組立装置を2台左右に設け、スライドと把持の機能を持つ装置全体を旋回させていました。そのため占有空間は左右に分離し、排土設備などを設けることができる空間は小さく制限されていました。今回、モノレール式ラックを断面形状に合わせた一つの非円形とする事により有効に使える空間を大きく確保できます。
- セグメント組立装置の操作性と品質を向上できます
従来の「円形リング式」セグメント組立装置は、非円形断面に対して、旋回やアームの昇降移動方向がセグメントごとに異なるため、操作が非常に複雑でした。今回開発の「ラック&ピニオン駆動モノレール式」セグメント組立装置では、走行方向が断面形状に一致しており、セグメントの位置決め操作が容易にできるため、セグメントの設計自由度が高まり、工事の品質も向上することができます。
大林組は、本装置を積極的に技術提案し、シールド工法による高品質な構造物を構築するためのツールとして採用することにより、お客様のニーズに応えていきたいと考えています。
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