株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、常温で硬化する高性能モルタル材料である「スリムクリート」を、港湾桟橋リニューアル工事に初適用しました。
従来、沿岸構造物をコンクリートにより補修する際には、塩害を防ぐためにコンクリートの表面を樹脂で被覆する必要があり、樹脂は10年程度で劣化するため定期的な再被覆が必要とされていました。この塩害に対しては、塩分浸透性が普通コンクリートの50分の1以下である「超高強度繊維補強コンクリート(Ultra high strength Fiber reinforced Concrete:UFC)」が有効とされていますが、通常のUFCは設備の整った工場での給熱養生が必要となるため、プレキャストでの対応しかできず、製造規模や運搬方法に制約があるため、現場打設が必要な港湾施設等の補修には不向きでした。
大林組が開発した「スリムクリート」は、直接打設が可能であり、施工規模や施工条件の制約を大幅に軽減できます。また、優れた流動性や充填(じゅうてん)性により、あらゆる形状や規模の構造物に対応が可能なため、今回、港湾桟橋リニューアル工事に採用されることとなりました。塩害対策としての樹脂による表面被覆も不要なため、30年のライフサイクルコストを考慮すると47%のコスト削減が可能となったことも採用の重要なポイントとなっています。なお、現場打設のUFCによる沿岸構造物の補修は、本工事が国内初の適用事例です。
「スリムクリート」は、常温養生のみで180N/mm2の圧縮強度に到達する超高強度材料です。大林組技術研究所本館テクノステーションでは、長さ14メートル2本の室内のブリッジを、桁高335mm、厚さを100mm(最薄部では35mm)で実現しています。
沿岸構造物のリニューアル工事における「スリムクリート」の特長は以下の通りです。
- 汎用性の高い施工形態
通常の生コンと同様に、一般の生コンプラントから生コン車にて運搬が可能であり、ポンプ圧送による打ち込みも可能です。
- 短工期での施工が可能
充填(じゅうてん)性が良好で常温養生が可能なため、作業効率の向上や工期短縮が図れます。
- 沿岸構造物へ適した緻密性
打設後、緻密な硬化体となるため、塩分を遮断する性能が一般のコンクリートと比べて格段に向上しており、沿岸構造物のライフサイクルコストを低減できます。
大林組は、高品質で塩害に対し高い耐久性を有する「スリムクリート」をコンクリート構造物の耐震補強や補修工事で積極的に提案し、お客様のニーズに応えていきたいと考えています。
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