地下構造物をスピーディーに耐震補強する「マルチプルナットバー」を開発

補強効果を高めコストと工期を最大40%低減

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、地下構造物の耐震補強の効果を高め、スピーディーに補強を行うことができる「マルチプルナットバー」を開発しました。

地下鉄や地下道路など比較的浅い位置にある地下構造物の多くは、ボックスカルバートと呼ばれるもので、工場やプラントの配管、取放水路などでも多数存在します。これまで、地下構造物は地震では壊れないと考えられてきました。しかし、近年では地震の規模等によってはダメージを受ける可能性があることが分かってきており、事業継続性の観点からプラント施設などを中心に地下構造物を耐震補強する需要が高まっています。

一方で、地下構造物の耐震補強工事は、橋梁などと異なり地中に埋設されているため補強が難しく、特に地盤と接触している壁や床板などの補強は困難です。一般的に、壁や床板に内空側から地盤まで貫通しない程度に削孔し、その中に鉄筋を差し込んでモルタルを充てんする方法がとられていますが、十分な補強効果を得るには多数の削孔をするため、多大な労力を要するとともに、既存構造物の主鉄筋に影響する危険性もありました。

今回開発した「マルチプルナットバー」は、従来の鉄筋を差し込む方法に比べて1本あたりが負担する補強効果を1.7倍に高めたものです。これにより削孔本数を最大40%削減することができ、コスト・工期を短縮することに成功しました。

「マルチプルナットバー」の主な特長は以下のとおりです。

  1. 母材の高強度化と効果的な定着方法により削孔本数を削減でき、コスト・工期を最大40%低減

    削孔した孔に挿入する「マルチプルナットバー」には、プレストレストコンクリートの緊張に用いられる鉄筋の約3倍の強度をもつPC鋼棒を使用しています。また、小さなナットを利用した定着方法により削孔径は小さいままで定着強度を高め、一本当たりの補強効果が大きくなっています。従来に比べて削孔本数を最大40%少なくすることが可能となり、工期やコストも30~40%低減することができます。

  2. 硬練りグラウト材とプレグラウト方式により、仕上げ時間も短縮

    本工法では、補強する壁などを削孔した後、その孔へマルチプルナットバーを挿入する前にグラウト材を注入します(プレグラウト方式)。通常、注入したグラウト材が孔から流れ出さないよう型枠が必要ですが、本工法では流れ出さない硬さに配合したグラウト材を使用するので型枠が不要となりました。これらにより、マルチプルナットバー挿入後、直ちに仕上げを行うことができます。グラウト材が固まるのを待つ必要がないので、工事規模にかかわらず約1日の工期短縮ができます。

大林組は、地下構造物の耐震補強技術やリニューアル技術として、マルチプルナットバーを積極的に提案していくとともに、お客様の多様なニーズに応えることができる施工を追求していきます。

この耐震補強工法は、(財)土木研究センターから建設技術審査証明を取得済みです。

地下構造物をスピーディーに耐震補強する「マルチプルナットバー」

地下構造物をスピーディーに耐震補強する「マルチプルナットバー」

地下構造物をスピーディーに耐震補強する「マルチプルナットバー」

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。