六花の森プロジェクトが日本建築学会賞を受賞

地域に根ざした文化施設づくりへの長年の取り組み

サステナビリティ

日本建築学会が2011年日本建築学会大賞などを発表し、六花の森プロジェクト(六花亭製菓、中礼内村、大林組)が、学術・技術・芸術などの進歩に寄与した業績を表彰する学会賞(業績部門)を受賞しました。

六花の森プロジェクトは、六花亭製菓が帯広市郊外の中礼内村で製菓工場を新築するにあたり、豊かな自然環境を創り出して敷地全体を整備した壮大なプロジェクトです。地域文化を醸成する地域開発計画が六花亭製菓によって立案され、中礼内村はそれに応える景観・文化施設づくりを進めました。

大林組は、企画段階から六花亭製菓と一体となってコンセプトをまとめ、景観と調和した文化施設の設計や、帯広固有の自然が共生するランドスケープの創出を担うなど、六花亭製菓の依頼を受けてから20年の歳月をかけて取り組みました。

今回の受賞にあたっては、企業が自治体と協力しながら地域の文化づくりに貢献したことや、生物多様性と地域景観に配慮した計画であることなどが高く評価されました。

「六花の森プロジェクト」の紹介

大林組の環境技術で社会のためにできること:長年にわたり取り組んだ「六花の森プロジェクト」

北海道帯広の地に、かつての自然を蘇らせる

「六花の森プロジェクト」は、北海道に拠点を構える六花亭製菓が、北海道銘菓として有名な「マ ルセイバターサンド」を製造する工場の建設と、その敷地全体を整備しようという壮大な計画 です。 帯広空港から車で約20分の地で、約10ヘクタールの敷地の際に沿って流れる三番川と、自生していたオオバナノエンレイソウの美しさにひかれ、同社が耕地を工場用地として購入されたのは今から10年以上前のこと。そして大林組が、工場の設計・施工とともに、ランドスケー プを設計することになりました。

オオバナノエンレイソウ

全体平面図

建築と環境保全にかける、お客様の熱い思いを受けて

六花亭製菓の小田社長は、建築に対する造詣が深く、また北海道の環境保全に積極的に取り組まれています。この荒れた耕地を本来あった自然の姿に戻し、緑豊かな土地に生まれ変わらせたいというトップの思いを受けて、大林組のプロジェクトチームが動き出しました。

まず1年以上かけて何度も現地を訪れ、自らの足で周辺の植生や地形の歴史などを徹底的に調べ上げました。その結果、河川の跡を発見したことがひとつのヒントとなり、河川の流れを再生し、それを中心に植生を蘇らせるプランを提案。このプランを基にランドスケープデザインの検討を幾度も重ねた末、せせらぎと池を核としたマスタープランができあがりました。

堆積していた礫を堀り、緩やかな傾斜をつけたことで水が流れるようになり、現在では緑豊かな植物が群生している。

これからも終わりのないプロジェクト

森としての本来のスケール感を作ることを目指して、孤立していた林のまわりに水辺を蘇らせ、その水辺を囲む緑の回廊を作りました。新たに水を取り戻した敷地には、水辺の草花が蘇生しました。

パッケージ

今、この地では、六花亭製菓の包装紙に描かれている真っ赤なハマナシなどの山野草を見ることができます。また、水辺には小動物も集まるようになりました。

湧き水を利用してつくられた池のある六花亭中礼内工場

このプロジェクトに終わりはありません。今後も長い歳月をかけて続いていきます。私たち大林組はお客様の思いに応え、自然環境を保全・再生していく仕事に、これからも取り組んでいきます。